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□5月5日
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5月5日――。
今日が何の日だろうと、僕には関係ない。

いつものように、応接室で風紀委員の仕事をこなすだけだ。


**5月5日**


応接室へと続く廊下を走る足音が聞こえてきたのは、4限目が終わるチャイムが鳴って、すぐのことだった。

廊下を走るのは校則に判している。
僕はその人のことを咬み殺そうと応接室のドアへとに向かった。



「どぁぁあ!!!!」

そこでばったり会ったのは
「むっ!!ヒバリではないかっ!!」

笹川了平。

「君…廊下を走るのは校則違反だよ。わかってるでしょ?」

トンファーを持ち出し、了平につきたてた。

「おぉ、そうだった!!急いでたものだからすっかり忘れていた!!すまん!!」

そう言いながら、応接室にズカズカと入ってきて、テーブルの上にある箱を置いた。


「ヒバリに極限いいものを持って来たぞ!!」




何かと思えば……







「…………何、これ」

「む!!見ればわかるでわないか!!ショートケーキだっ!!極限バカだなヒバリは!!」

姿形のなくなったケーキ。



「……咬み殺すよ??」


僕は風紀委員の仕事で忙しいんだ。君になんかかまっている暇はない。

さっさと咬み殺そう。


僕はトンファーを握り締め、了平に振りかかる。

「お、そうだ。ひとつ忘れていたことがあった!!」


「誕生日!!極限おめでとう!!」


思わず目を見開く。
トンファーも手からこぼれ落ちた。


「う〜む…走って来たからな、形は崩れてしまったが…だが、味は変わらん!!!」


用意してきたらしい紙皿によそる。


グシャッ……


あ、、……わぉ…

余計にケーキに見えなくなってきた。



「さぁ!!食わんかヒバリ!!」

ずいっと差し出されたケーキ。





「………。」



…受け取るしかないじゃないか。


「食べ物は粗末にしちゃ駄目だからね。しようがないから食べてあげるよ」




一口、

口に入れれば広がる甘い味。





満足そうな顔した君が、照れた笑顔を作ったら、



僕も少しだけ笑えたよ。




fin.

 

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