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□不安
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[山本]
獄寺がオレの服の裾を掴んできた。
見上げれば、眉をひそめてオレを見ている獄寺。
オレがテレビに呆れて…、獄寺にかまってもらいたくて膝の上に頭乗せた時だって、いつもみたいに殴ってこようとも、突き放そうともしてこなかったし……
髪を撫でられて嬉しかった…
けど……
いつもの獄寺じゃない。
オレは、だんだん心配になってきた。
「……?どうした、獄寺?」
「……なんでもねぇ…」
なんでもねぇって顔してねぇぞ。
顔に、何かありましたって書いてある。
そんな顔してる。
悲しそうな顔すんなよ…。
無意識に顔を近づけ、キスをした。
「…獄寺……?」
「………見んなっ」
髪を撫でるのをやめた獄寺の手は拳をつくり、その綺麗な瞳を隠した。
そして顔に落ちてきたのは
一粒の……涙。
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