四天宝寺2

□飼い殺し
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「先輩ってどうやって千歳先輩を躾けたんですか?」
「はは、光。千歳は犬やないで?」
「いや、どうみてもでっかい犬ですわ」
「ははは」

悠々と足を組んでいる白石部長に話しかけると綺麗に逸らされた

「知りたいっすわー」
「知りたいっていわれてもなぁ・・・これは個人やし」
「謙也さんなんてなんか、小型犬?きゃんきゃん吼える」
「あーなるほど。分かるわー」
「比べて千歳先輩はなんか、大型犬の利口なやつって感じ」

そうかー?と白石部長は笑った。

「ま、簡単にいえば、飴と鞭かな」

白石部長は組んでいた足を下ろすと靴下を脱ぎ始めた
その白い足が少しずつ見え始める

「千歳って、俺と付き合ってから最初の頃は女癖悪くてなぁ」
「そういえば、そうでしたね」
「最初の頃は俺も黙っとったんやけどな?なんか無性に腹が立ってなぁ・・・」
「・・・。」
「俺じゃなくて、なんで女に欲情するんかって切れたんよ」
「・・・あー・・・想像できますわ」

白石部長はクスリと笑ってまたその足を組みなおした

「そしたら、あいつなんっていったと思う?」

白石部長の言葉にキョトンとしていると、白石部長はクスクスと笑い出した

「『白石は大事やけん・・・。酷いことしたくなか。キスするのだって精一杯ばい』」
「ってことは、女は性欲処理ってことですか?」
「うん。まぁな、でも無理やり抱いてもらった。」
「へぁ・・・・・?」
「で、治まるかと思ったら、治まんなくて。とうとう俺が本当に切れた」

チョイチョイと手招きされる
その足もとに寄ると座るように促された
白石部長の綺麗な指が顔を撫でる

「三日のキス禁止と一週間のセックス禁止および監禁」
「・・・・?!」
「ほら、一週間くらい千歳が来なかった日があったやろ?」
「はい・・」
「あれな、千歳の家で千歳を監禁してたんや」

クスクスと笑う白石部長の唇が額に触れた
ドクリと心臓が脈打つ

「最初は、抵抗しとったんやで?」
「そら・・・まぁ」

それだけを聞くと、千歳先輩も案外普通の人間なんだなぁとぼんやりと思う

「でも、一週間たてば抵抗する気も失せたらしくてなぁ。今みたいに椅子に座ってこう、聞いたんや」

すっと、白石部長の足の指が顎に当たり上を向かされる
白石部長と目があう
その目はあまりにも冷たくて澄んでいて綺麗
浮かべられている笑みすらも冷たい
背筋が粟立った
恐怖と、快感

「・・・っ・・・」
「『お前は誰のものや』ってな」
「・・・あ・・・・」

言葉が発せられない
全てが飲み込まれていく
感情も、思考も全て

「それからは、完璧に俺のものや」

スルリと白石部長の唇が耳元による

「光、どうしたい?」

ゾクリとした。
本当に何も考えられない
ただ、単純に欲しいと思った

「可哀想に、謙也が告白されたらしいやん。しかも、満更そう」
「・・ぶちょ・・」
「可哀想な光。謙也を懲らしめたらんとなぁ・・・・」
「・・・・・・はい・・・・」

クスリと俺は笑った
謙也さんが外にいるのは分かっている
なんとなくだけど

「舐めて、光」

差し出された足に唇を寄せる
足の指先から足首までゆっくりと舐め上げた

「・・・・っ・・・そう・・・上手いやん・・・」

ぴちゃという生々しい音が響いても気にしない
足首、ふくらはぎ、太ももと順番に舐め上げていく
微かに聞こえる白石部長の声に酷く興奮した

「・・・っ・・・ぁ・・・あかん・・・光」

カリッと太ももを強く噛み付く
ビクリと白石部長の体が震えた

「先輩・・・気持ちいい?」
「あほ・・・でも、上手いなぁ・・謙也の仕込みか?」
「さぁ・・・?」
「光、やめや」

クスクスとその白い手が頭を撫でた
離れていくその指に俺は軽く噛み付いた

「こら、光」
「ん・・・」
「ふふ・・・光は猫やもんなぁ・・・。躾けてもあかんかなぁ・・」
「にゃぁ・・・・」

ニヤリと笑って俺は白石部長の頬を一舐めした
なんだか無性に謙也さんが欲しい
俺は立ち上がると白石部長に背を向ける

「光」
「なんすか?」
「壊れないように、気をつけなさい」
「・・・・いまさらっすわ」
「謙也はああ見えて嫉妬深いんやで?俺の比じゃないで?」
「あんたも充分でしょ」

面白そうに歪められた瞳を見て、俺はさらに笑った
白石部長は指を唇にあてる

「千歳は、リードの付いた飼い犬や。でも謙也は」
「躾を行ってない馬鹿な犬」
「それ以上に、謙也は野生の犬や。」
「へぇ・・・」
「噛殺されんようにきいつけや」
「ご忠告どうも」

俺は扉を閉めた。
そして廊下を少し進むと小さく笑う
予測していたとおりだ
俺は、飼うのはごめんだ
それなら飼われるほうがいい

「光」

謙也さんがいつの間にか背後に立っていた

「いたんすか」
「光、白石と何してたん?」
「秘密」

クスリと唇に指を当てると俺は笑った
謙也さんの表情は見えない
俺は首に腕を回した

「謙也さん」
「光・・・・・」
「飼い殺して」

謙也さんの瞳が鈍い光を放っている
白石部長と同じだ
俺は、小さく期待をしながら唇を寄せた
 

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