版権物
□秋山
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「なんでお前がここにいる」
「ヅラァ、そりゃあ、こっちのセリフだ」
一瞬はりつめた糸のような感覚がはしった。しかし、それはすぐに鳥の穏やかな声、どこまでも青く澄んだ雲ひとつ無い空の気持ちよさ、色鮮やかな葉で飾りつけた木々の優雅な姿の自然の美しさによって解かされた。
「おい、やめよォぜェ。こんなきれェな場所でやりあうのは、無粋ってもんだ。せっかくの景色がもったいねェ」
目の前の男は先ほど口元から離したちょこを再び口に運び始めた。俺はそれもそうだと言って、握りしめた刀の柄から手を離した。同時に、短く息を吐き出す。
男は酒瓶からちょこに酒を注ぐと、俺の方に向けて差し出した。
「おい、お前もこっちに来いよ。いい眺めだぜェ?」
「誰がお前の隣になど行くか。それに昼間から酒を飲むなど、生活習慣が乱れている証拠だ」
「はっ、あいかわらずお堅いなァ」
「将来生活習慣病などになっても知らんぞ?銀時なんぞ、あいつはもうだめだ。甘いものの取りすぎで糖尿病寸前だ」