版権物
□空
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「なぁ、高杉」
桂は眠い目をこすりながら話しかけた。
「いい加減に俺の膝の上からどいてくれないか?」
高杉は先ほどからじっと空を眺め続けている。
遮るもの一つ無い空は、深い藍色の海が広がっていた。
星は、波間に見える輝きのように空いっぱいに漂っている。
「星がきれいなのは分かるが、そろそろ俺の足が限界だ」
足が痺れてそろそろやばいんじゃないか、と思う。
俺の足が使い物にならなくなったらどうするんだ、と言いかけて高杉が口を開いた。
「たくさんいやがるなぁ」
「ん?ああ、美しいものだな」
「美しい?ハッ、ヅラァ、お前にはにはそう見えるのかィ?」
高杉が鼻で笑った。瞳は空を見つめたまま動かない。桂は眉を寄せて聞いた。