天を突く!(小説2)

□お酒は二十歳になってから
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「よし、みんな集まったな。」
ダイグレン内の食堂。そこに大グレン団全員が集められていた。キタンの先導で。
ただし、シモンとニアは除く。
「えー、今日みんなにこうして集まってもらったのは他でもねぇ。」
キタンが話を切り出すと、すかさず茶々が入る。
「何ですかー、"元"リーダー?」
「やんなっちまうぜ、まだリーダー気取りなのかねぇ。」
「そういうなゾーシィ。権力というのは無くしてもなお縋りたいものなのさ。」
「「キタンはもうリーダーじゃないからなー!!」」

「うるっせぇんだよぉぉぉぉぉ!!文句あっかぁ!?」

そう、キタンはもうリーダーではない。
劇的な復活により、シモンが大グレン団のリーダーになったのだ。
それはキタンが言い出したことであり、もちろんキタンも納得の話だ。

ただ、それ以降キタンの呼び名を「元リーダー」にしてからかうのがガンメン乗りを中心として大グレン団メンバーの遊びになっていた。

「はいはい、いーから早く話始めなさい。"元"リーダー。」
「ヨーコてめぇまでかぁぁ!!…ぐぅ…オホン!集まってもらったのは他でもねぇ、シモンについてだ。」
「あんだよ、シモンに文句つけてまたリーダーになろうってか?」
「それはあまりスマートじゃないな、キタン。」
「うっせぇ黙って聞けキッドにアイラック!!…シモンに文句なんかねぇよ、あいつはよくやってる。」

その通りシモンは立派なリーダーに成長しつつあった。なりたての頃こそ戸惑いや、生来の穏やかな気質が顔を覗かせたが、徐々にリーダーらしくなり、今では誰もがシモンをリーダーとして認め、カミナとはまた違うリーダーに成長しつつあった。

「じゃあ何なのよ。」
「おう、単刀直入に言おうか。…アイツ、宴会にゃ滅多に参加しねぇよな。」

大グレン団の面々は、騒がしいこと好きなメンツが揃ってることもあり、普段よりも大規模な戦いや大きな勝ちを挙げた日の夜は大概宴会になるのだ。
「そうね。」
「何でだ?」
「騒がしいのが得意じゃないみたいね、ウチの村にいたときからそうだったわよ。」
「そうだな、気付くと姿を消していた。カミナが騒いでいたから誰もあまり気に止めなかったがな。」

ダヤッカが続けると、ザワザワと呟きがおこる。それを制してキタンが言った。
「じゃあ、アイツ…酔ったらどうなるんだろうな。」
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