◆平行世界◆
□突発
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『淋シイ』
今日は先生同士の飲み会だってゲンマさんが言ってた。
オレにっていうよりも、ナルトに言ってたんだけどさ。夜は居ないから晩御飯は自分の分は要らないって。
久しぶりだな〜なんて言って笑うゲンマさんは楽しそうだった。
別に楽しそうにしちゃ駄目だなんて言うつもりはないけど、今夜はゲンマさんの帰りが遅いんだって思うとちょっと淋しい。だって、ここ最近はずっと二人きりだったんだってばよ。
実は最近ナルトは夜バイトで家にいない。
夜はツナ手さんの店でバイトしてるんだ。
ナルトがバイトしたいって言い出した時、最初は綱手さんは反対した。だけど、どうしても折れないナルトに仕方なく、自分の店でならって許可したんだ。
成績が下がったら即やめさせるって約束で。
たぶんオレだったら絶対無理だってばよ。ただでさえ成績悪いのに…
でもなんて急にナルトがバイトしたくなったのか、オレってばよく知らない。
ナルトは買いたい物がある…とか何とか言ってたけど、それってちょっと嘘っぽい。しつこく聞いてみたけど教えてくれそうには無かった。
本当にそうなのかもしれないけど、嘘のような気もする。
双子の勘ってやつ?
まぁ、そんなわけで、ここずっと夜はゲンマさんと二人っきりだった。
二人で夕飯の片付けしてたりとかって新婚さんごっこみたいで楽しかったし、ゲームしたり勉強見てくれたりってすごく優しかった。
だけど、今夜は居ない。
今日だけ、一日だけだって分かってる。
明日はまた一緒にいられるんだって分かってても、今日いまこの瞬間にオレが淋しいと思ってるのは紛れもない事実。
一人ぼっちだってばよ。
ご飯食べるのも、
テレビ見るのも、
ゲームするのも、
今日だけは一人。
宿題なんて淋しいし、分かんないし、で全然先に進まない。そして考えればつい浮かぶのはゲンマさんの顔だし。
飲み会をすごく楽しみにしてた笑顔が恨めしい。
その夜はオレと一緒にいられないのに、それでも良いの?……なんて、独占欲の強いバカ女みたいな事言いたくないけど、正直に言えばソレに似た事は考えた。
もちろんそんな事言う資格はない。
実際、淋しいのなんてオレだけだろうし。
ゲンマさんてば、今夜は子守りをしなくて良い…とか言って伸び伸びお酒飲んでたらどうしよう。
本当は二人っきりなの迷惑がられてたんならどうしよう。
一人で淋しいのも手伝って、どんどん考えが暗くなる。
女として好かれてるなんて思ってない。
姪といて可愛がられてるってのは分かってる。
でもソレも建て前だったら?
本当は嫌で、迷惑で、今日みたいな日に息抜きしてるんだとしたら?
そんな事ないって分かってる、信じてるけど…でも、もしかしたら、実は…って思っちゃう。
早くゲンマさんに会いたい。
会って、顔を見たら、ちゃんとゲンマさんはオレの事可愛がってくれてるって分かるのに。
たった一晩、今夜だけ、それも何時間か前には学校で会ったのに、それでも淋しい。
それでも不安になっちゃう。
そんなオレって、どれ位ゲンマさんが好きなんだろう。
いつの間にこんなにゲンマさんが好きになってたんだろう。
自分でも分かんない。
信じられない。
でも、好き。
どうしようもなく、好きなんだってばよ。
だからゲンマさん、早く帰ってきて…。
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08.03.20
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