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□"慣れ"って怖いなナニヌネノ
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["慣れ"って怖いなナニヌネノ
最後の一匹の魔物の断末魔が響き渡る。クレスの一太刀がとどめを刺したのだった。
片手でくるりと器用に剣を回し、その手を高々と突き上げた。
「僕らの勝ちだ！」
これが、クレスのいつもの戦闘勝利後の台詞。
「クレス大丈夫か！？怪我してないか！？毒受けてないか！？麻痺してないか！？ＨＰは！？ＴＰは！？」
「まだ大丈夫ですよ、クラースさん」
そしてこれが、クレスとクラースの“いつものやり取り”
いくつかの溜め息が聞こえるが、二人は気づいちゃいなかった。
『いつからだろうなぁ…』
いつからあの光景を見るようになったか、チェスターは記憶を辿る。
過去に遡って遡って――
『って、クレス達が過去から帰ってきた時から“ああ”だったな…』
意識を失う直前まで、クラースの召還しまくる声が頭にがつがつ響いていたのを思い出した。
『いつからだっけ…？』
いつからあの光景を見るようになったか、アーチェは記憶を辿る。
過去に遡って遡って――
『…初めてあたしが“あたし”として出会った時から“ああ”だったかも』
親友リアを自分に憑依させていた間の記憶はほとんど無いが、自分の意識を取り戻した途端にあんな光景にあてられたことを思い出した。
『あの時から…ですよね…』
いつからあの光景を見るようになったか、ミントは思い出していた。
クラースがシルフと契約を結んだ帰りのこと―――
『僕らの勝ちだ！』
くるり。すぱっ。
『…すぱっ？』
『クレスさん！？腕、腕が、出血多量ですっ！？』
『あ、剣、掴み損ね、た……』
『おいぃ！？しっかりしろぉ！？』
幸いミントの処置で大事には至らなかった。
だが、その時からだった。クラースの過保護ぶりが顕著になったのは。
『まぁそれより前から何かと気に掛けてたみたいですけれどね・・・』
過保護ぶりが相変わらずなクラースに、ミントは再び溜め息をついた。
「・・・クレスさんは、クラースさんのことをとても頼りにしているのですね」
『え？』
唐突なすずの台詞に、当の本人達を除いた３人は間抜けた声を出した。
「クレスさんは優しいです。しかしそれ故に、迷惑を掛けまいと他人に甘えることがあまりありません」
特に女性陣には、と補足するすず。
「そんなクレスさんが、出会って間も無いクラースさんの気遣いを素直に受け取れるのは・・・とても心を許しているからだと思います」
視線の先には、怪我をしていないか未だに確認しているクラースと、それに優しく返事するクレス。
その顔には、偽りでない柔らかい笑みが浮かぶ。
――今のままでも、まぁいいか。
仲間達は苦笑を浮かべつつ、今日もこの光景を見過ごしてあげるのだった。
――私たちは今日も、平和です。
「本当に大丈夫か？鎧脱いで服脱いで確認した方が
「大牙ぁ！！」
「ファイアボール！！」
「ピコピコハンマー！！」
「Σぐ！がはっ！ぎゃあああ！！」
「Σクラースさぁぁぁん！？！？」
「・・・取り繕ってあげたのが台無しです」
―――平和です。
END