頂き物

□効果のある看病は
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〜効果のある看病は〜




それは今から少し前。

みんなでのんびり過ごしている時に、クレスが急に立ち上がり、
「ちょっとごめん…。先に休ませて貰っても良いかな…」
と言った。


いつもの様に笑顔を浮かべてはいるものの、いつもより顔色が悪い事に気が付いたのはスタンだった。
「あれクレス、具合悪いのか?」
「え」
クレスは一瞬きょとんとしたが、すぐにまた笑顔に戻った。
「だ、大丈夫。何でもないよ」
そう言ったクレスに、他のメンバーも一斉に彼を見た。

じーーっ

「な、何…?」

「…確かに顔色悪いぜ?ちゃんと飯食ったのか?」
「ちゃんと寝てる?」
「体は動かしてるか…って、毎日稽古してんだからそれは心配いらねーか…」
「……………」
「自分の体調管理も出来ないなんて、海では命取りだぞ」
「無理してんじゃ…ねぇ?」
「何か辛そうだぜ?」



口々に気遣いの言葉を掛けてくる面々に、クレスが慌ててストップを掛けた。

「大丈夫だってば。一晩寝れば治るから…」

「…やっぱり具合、悪いんだな?」
「…;」
スタンに指摘されて、クレスは黙り込む。
それを見て、ロイドが笑いだす。
「へへっ。図星みたいだな。クレスって頼れそうに見えて、実は単純だよな。表情に出やすいっていうかさ」
「…ロイドには言われたくないよ!」
赤くなりながら膨れるクレス。
そんなクレスをちょいちょい、と突きながらカイルが口を開いた。
「クレスさん、休むだけでホントに大丈夫?」
心配そうに見上げられて、クレスは再びにっこり笑う。
「大丈夫だって。でも、ありがとうカイル」

「だったらせめて、俺が添い寝して傍にいてやるよ」スタンが申し出たが、クレスが何か言う前に、カイルがクレスの腕に手を回した。
「駄目だよ父さん!それなら、オレが一緒に寝る!!」
「え、あの」
突然の申し出に、クレスがあたふたしてしまう。
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