頂き物
□ある兄弟のある日常
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「兄さん、朝ごはんの用意できましたよー?」 いつものように、やや控えめにドアをノックすると、いきなりドアが開き中からクラースが出てきた。 「クレスっ!何もされてないな!?大丈夫か!!?」 「別に、僕は何もされてませんよ?おはようございます、兄さん。」 「そうか…なら良かった」 これがいつもの日課だ。 そして毎回、クラースがドアを勢いよく開けるので、ドアは半壊状態。 なので、二日に一回は新しいドアにしないといけないこのクラースの行動も、全ては弟のクレスのため(?)なのだが、正直ドアにとってはただの迷惑にしかならない。 二人は、何事も無かったようにリビングへと行ってしまった。 場所は移り、リビング。 朝ごはんを食べながら、クラースは朝から一番気になってた事を、クレスに聞いた。 「なあクレス、学校はどうだ?」 そのクラースの問いかけにクレスは固まって、持っていた箸を床に落とした。 「いや、あの…面白いよ!?」 普段なら、面白いとか楽しいとか、元気よく言ってくるクレスが、今日だけ固まった。 けど、気のせいかもしれない…と、自分に言い聞かせたクラースは、とりあえず、触れないでおく事にした。 しかし、クレスは何か気まずい事があったのか、いつもより早めに食べて学校に行く準備をして、逃げるような勢いで家から出て行った。 「じゃ、じゃあ行ってきます!」 普段なら、遅刻ギリギリの時間まで家で過ごすクレスが、何故か今日はもの凄い早い時間に出て行った事。 しかも、逃げる勢いで。 さっきからその様子を見ていたクラースは、一体クレスに何があったのかが気になり、調べることにした。