アレティエ子作り部屋

□眠りは魔法 ぱいぱい・まじっく。
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幼いベルベット・アーデは、一晩眠れば世界ががらりと変わる魔法を知っていた。ベルベットにとって眠りとはイコール快い魔法だった。
熟睡することで、トレミーの居住区域を駆け回った疲れが翌朝には消えている事も、時には怖い夢を見たり、逆に楽しい夢を見たりする事もベルベットには魔法としか思えなかった。
眠れば全ての事が翌朝には解決しているのだと、ベルベットは信じていた。

父親であるアレルヤが銀髪の綺麗なお姉ちゃまを連れて帰って来た夜、母親であるティエリアがうつらうつらとしているベルベットの耳を憚るように、涙ぐみながらアレルヤを責めていたのをベルベットは何となく覚えている。
「彼女が居るのに、何故僕の所になど帰って来る」
「彼女は僕の感情の源流だよ。彼女がくれた心だから、君とベルを愛せるんだ、ティエ」
「…アレルヤ」
「そうだよ。帰って来るんだ。僕の帰る場所はもう、君の元なんだ。ティエリア」
「…馬鹿」
泣きながら母親が父親とキスしているのを見て、ベルベットはもう安心だと思ってゆっくり眠った。ベルベットは母親の事は父親に任せておけば心配などないと知っていたので。

翌朝、両親はいつも通りだった。新しく加わった銀髪のお姉ちゃまもベルベットに優しくしてくれたし、一緒に遊んでもくれた。
「アレルヤの子供なら、私にとっても姪みたいなものかしら」
と微笑みながら。

夜、そろそろベルベットが寝る支度を始める頃、アレルヤとティエリアが部屋に戻って来た。食堂のおばさんの一人がベルベットの着替えをさせてくれていたが、ティエリアを一目見て、眼を丸くした。
「あらまあ、何処の別嬪さんかと思ったら!」
パジャマ姿のベルベットも眼をみはって、ティエリアに飛び付いた。
「ぱいぱい!かあさまにぱいぱいあるの!」
「こら、お行儀が悪いぞ、ベルベット」
苦笑したティエリアは赤いドレスを着こなして、形の良い胸を持っていた。髪の毛もいつもより長かった。
ベルベットは母親の胸にすりすりと懐いた。普段ペタンコ胸のティエリアの豊かな胸は、とても気持ちよかった。
アレルヤが笑いながら愛娘に告げる。
「ベル、父様と母様はお仕事に行って来るからね。今夜はもうおやすみ」
「べるもいく〜」
「ベルベット、今夜のお仕事は夜遅くまで掛かるんだ。君は到底起きていられんぞ」
「う〜」
両親の言葉にベルベットはぶすくれたが、母親が綺麗なので良い子にする事にした。
「ベル、明日はシュークリーム作ってあげるよ」
「えくれあがいい〜」
「わかったよ。エクレアね」
「うんっ♪」
ベルベットは上機嫌で両親のお出かけを見送りした。一晩眠ったら、次の日はエクレアが待っていると信じて。

翌朝、少し不機嫌で戻って来たティエリアの姿を見て、ベルベットはしょんとうなだれた。
「ぱいぱい、なくなっちゃったの…」
「ベルベット、君は母様と母様のぱいぱいと、どっちが好きなんだ?」
思わず苦笑したという感じで、ティエリアがベルベットを抱っこしてくれる。ベルベットは母親の問いに真剣に頭を悩ませたが、答が出なかった。
だいすきなかあさまにだいすきなぱいぱいがあるのがいいのだけど。
「済まないな、ベルベット。シンデレラ・リバティは終わりだ。また今度魔法使いさんにぱいぱいを付けて貰えるように頼んでみるからな」
「はあい〜♪」
きゃっきゃとはしゃぐ母娘を見て、心配そうにしていたアレルヤも愁眉を開く。
「よかった。ティエリアが元気出て」
「…ん」
アレルヤがベルベットとティエリアの頬に、温かいキスをくれる。
「行こう。朝ごはんが待ってるよ」

ベルベットはまだ、リボンズ・アルマークとの出会いでティエリアの運命が変わった事を知らない。

H24.02.29(閏年の二月尽)

後書き
ベルたんはぱいぱい好きなので、かあさまにぱいぱい付いたら大喜びだと思います。
ちなみに、とうさまのぱいぱい(胸板)も大好きです(笑)。



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