ガンダム00部屋5。

□お前に車を。
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「いい車だな」
突然刹那が言った。
「欲しいか?」
ロックオンがきく。
「そうだな……」
「悪いがこれにはもう貰い先が決まってるんだよ」
「じゃあきくな」
途端に不機嫌になった刹那であった。と言ってもこの黒いくせっ毛の少年はいつも無愛想ではあるが。笑えば美少年なのにな、といつもロックオンは思っている。
確かにいい車だ。
運転手の気持ちを忖度するし、何よりお洒落だ。緑と白を機体の基調にしている。
だが、他にこの車を贈りたい相手がいる。
ライル・ディランディ。ロックオンの弟だ。
遺言状にも書いておいてある。車はライルに譲る、と。
規則的にメンテナンスをしてあるし、珍しい型なので売ればなにがしかの金にはなるだろう。因みに、ロックオンはライルの学資や生活費を送っていた。
テロで親兄弟を亡くしたロックオンにとってみれば、ライルだけが唯一の家族であった。しかも双子というところに運命を感じる。
(まあ、俺ができることなんてこのぐらいのものだけどさ)
ライルは二人で力を合わせて暮らしたかったようだったが、ロックオンがそれを拒否して姿をくらましてしまった。そして闇仕事で裏社会の狙撃手になっていたところを訳あってソレスタルビーイングに入ってガンダムマイスターに入って今に至る。
刹那には新しい車を買ってやろうとロックオンは決めた。刹那が車を運転できる年齢になってから、だが。ガンダムを操る少年が年齢の壁で車を運転できないと言うのもおかしな話だが。
「まあ、おまえにはそのうちもっといい車買ってやるよ」
ロックオンは明るい声で言った。
「悪いな」
「ああ、楽しみにしててくれ」
この国では十八で免許が取れる。今十六の刹那が十八になるなんてすぐだろう。
「早くおまえが車運転できるようになるといいな」
「ああ」
「そしたら俺、乗っけてもらうからさ。…事故るなよ」
「気をつける」
車は並木道を走って行った。ドライブデートはロックオンには楽しいものだった。休暇を有意義に過ごせたと思った。多分刹那も楽しんでくれたことだろう。
ロックオンの心も軽くなった。弟や恋人の為なら多少の出費も惜しまない。彼はそういう男であった。宵越しの金は持たない主義であった。
あと一日で、宇宙に帰る。

H24.07.02

後書き
Tomokoさんのニル刹話が00部屋5のこけら落としです。Tomokoさんありがとうございます!
兄貴はどんな車を刹那に贈るつもりだったのでしょうね。バイクには乗ってましたけどね〜刹那。

Tomokoさんのあとがき
刹那は未成年でも車を運転したシーンがあったかもしれません。DVDしばらく見てないから



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