ガンダム00部屋5。

□朝陽昇りて。
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まえがき
杏里さん、お忙しいところすみません。突然降ってきたネタでロク刹(ニル刹)書いたので送ります。お暇な時にでも目を通してくださいませ。
Tomoko拝

「刹那……刹那……」
「ん……む」
「刹那起きろ。こんなに無防備にして、誰かに襲われたら困るだろ」
ロックオン・ストラトスが耳元に小声で囁いた。
「うわっ!」
刹那・F・セイエイは柄にもなく、大声で叫んではね起きた。まだ耳がくすぐったい。また、ロックオンの声はセクシーときているから始末が悪い。
「何だ……どうした?敵襲か?」
いつもの調子を取り戻した刹那がきいた。
ここは日本だ。偽りの平和とはいえ、国民が平和の惰眠を貪っているような国だ。だが、一応きいてやる。
「朝日見に行かないか?」
ロックオンの返答に思わず殴りたくなった。
またか……。
この男はよほど朝日が好きなんだな、と刹那は思う。
モーニングコーヒーを一緒に飲もうと言ってはひとを起こし、初日の出を見ようと言っては起こし……。
たまにやり過ぎで腰が痛くなっていることがあるのに。目の前の茶色の髪と海色の瞳を持つ、茶目っ気たっぷりのこの青年のせいで。
とは言え、刹那もロックオンのことは嫌いになれなかった。何故なら、並外れて気高く優しい精神をこの青年も持ち合わせているのだから。
しかし、一応、
「一人で行け」
と反抗した。
「刹那がそばにいないと寂しいんだ」
ウィンクと共にそう言われると、もはや抗う気にもなれない。
「わかった。服を着る」
刹那は素裸の体の上に衣類をつけようとする。じぃっと見つめているロックオンの視線が気になった。
「どうした。ロックオン」
「いやあ、刹那が服着るところって絵になるなあと思って。眼福だな」
刹那は何も言わず、ロックオンの前に行くと、がんっと相手の頬を右ストレートで殴った。とうとう手が出てしまった。
「おー、いてぇぞ、刹那。やっぱり鍛えてあるだけのことはあるな。ガンダムマイスターとして」
ロックオンは笑っていた。
ガンダムマイスター、その言葉で刹那の態度は軟化した。
「むこう向いてろ」
刹那はてきぱきと衣服を身に纏う。顔を洗って歯磨きして……準備は素早く終わった。慣れているからかもしれない。
「湾岸沿いにいいスポット見つけたんだ。海からの眺めは最高だぜ」
刹那とロックオンは、白と緑を基調としたロックオンの愛車に乗り込んだ。緑はロックオンの好きな色だ。
「しゅっぱーつ!」
運転席のロックオンが叫んだ。
車窓に映る景色が流れていく。
刹那は橙色に光る一筋の線を見つけた。
「おっし、ここ、ここ」朝日が好きな青年は道路上で車を止めた。二人は降りた。
「ここ、滅多に人が通らないんだ。俺とおまえの特等席さ」
そして、ロックオンは片目をつぶった。そして海の方を見遣った。刹那も一緒に。
オレンジ色に染まった水平線から太陽が覗く。ゆっくりと、緩やかに日が昇る。
曇り空だが、その分遥かに雄大な朝日を拝むことができた。
「綺麗だろ?」
ロックオンは刹那の肩に手を置いて抱き寄せる。
「また来ような」
刹那はこくりと頷いた。
「もうちょっとここにいようぜ」
潮の香りが心地好い。刹那はロックオンと二人で世界に残されたような錯覚を覚えた。

H24.08.18

後書き
Tomokoさんのニル刹、大分以前にお預かりしてたのに発表が遅くなってすみません
こうして少しずつ兄貴に寄り添って行く刹那が可愛いです!ありがとうございます

Tomokoさんのあとがき
またしてもガンダムの出ないダブルオー話……。バトルシーンも書きたいけど、イメージが湧きませんねぇ……。
それでも、ダブルオーのガンダムはかっこいいのでいつか書けたらいいな、と思います。
ついでに、このロク刹話もノリノリで書きました。ここに出てくるロックオンはニール兄貴です



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