ガンダム00部屋4。

□憎しみ・3。
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「どうだ?刹那。ドライブは楽しいか?」
「…まあな」
「張り合いのねぇ奴」
ロックオンの独り言も、刹那は意に介さない。一人物思いに耽っている。
(わっかんねぇよなぁ…こいつだけは)
「刹那のこと、理解してあげて」
そうスメラギは言ったけど…わかったのは、いつもより刹那を憎いと思わない、ということだけだった。
(どだい無理なんだよ。刹那と理解し合うなんざあ) もっと深い友達になれると期待した俺が馬鹿だった。今は…見るのも嫌だ。
しかし、原因はこいつにもある、と思う。
自分のことは話さない。誘ってもそっけない。話しかけたら冷たい視線の嵐だ。
一体、何が気に入らないのか。アレルヤとティエリアに聞いてみても、事情は同じらしい。
何がそこまで頑なにさせる、刹那・F・セイエイ。
ロックオンがぼーっとしながら運転していると…。
「うわっ!」
猫が道路を横切った。助手席の刹那も見ていた。
「ふうっ。脅かしやがって」
一旦車を止めたロックオンが額の汗を拭った。
「猫、轢かれなくてよかったな」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で、刹那が呟いた。その声をロックオンが拾った。
「ああ、そうだな」
ロックオンは微笑した。
(こいつ、結構いいとこあるじゃん。意外と優しいのかもな)
もし猫をはねたら、ロックオンもさぞかし寝覚めが悪かろうと思うが。
刹那の優しさが、ロックオンには嬉しい。
さっきまでよりほんの少し、刹那を身近に感じた。

H23.08.01

後書き
Tomokoさんの「憎しみ」シリーズです。Tomokoさん連作ありがとうございます!
この後兄貴は刹那への接し方が変わるでしょうか?

Tomokoさんのあとがき
ちょっとした寸劇です。
載せられなくたって構いません。杏里さんが見てくだされば。



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