ガンダムOO部屋

□00パロディ小説。
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「後片付け手伝ってくれてありがとう」
笑顔で礼を言うアレルヤに、ティエリアは、
「別に……」
と、ぶっきらぼうな返事を返した。
「これ、いつものお礼」 アレルヤが差し出したのは、可愛らしいチョコケーキ。ハート型になっているのもポイントだ。
「わかった。一応、もらっとく」
ケーキをもらうのは初めてではない。と、言うより、アレルヤの料理の後片付けを手伝ったときは、いつももらっている。チョコケーキも、大して珍しくはない。

「食わんのか?」
ロックオンの当然過ぎる質問に、ティエリアはポーカーフェイスで答えた。
「食欲が湧かん」
「何故だ」
「飽きた」
これ以上はないというぐらいの、極悪非道な返答である。
「飽きたって、おまえなぁ」
「……貴方が食べると良い」
「俺、甘い物はちょっと……」
「では、刹那にやる。持っていって下さい」
「自分で渡さねえのかよ」
「飽きたからやるなんて、言えますか?」
ティエリアの言葉に、ロックオンはぐっと詰まった。
「ま、そりゃ言えねーわな」
「わかったら、早く持って行って下さい」
ティエリアは少しムキになっているように見える。
(おや? この反応は……)
「やっぱりやるの惜しいんじゃねぇの?」
「馬鹿なことを。早くそれと共に視界から消えて下さい」
「はいはい、っと」
ロックオンは、ティエリアの目の前から悠然と立ち去った。

ロックオンが刹那の部屋に行くと、少年は本から目を離して、顔を上げた。
「何? いつものやつ?」
「アレルヤ特製のケーキだ。旨いぞ」
「食べたことあるのか?」
「もちろん」
「嘘が下手だな。ティエリアが持ってきたんだろう」
「よく知ってるな、お前」
「まあ、いいが」
ロックオンが、カチャリ、と音を立てて、机の上にハート型のケーキ皿を置いた。
「何でティエリアは食べないんだろうな……」
刹那はぽつんと呟いた。「あー、それはあれじゃないかな。ダイエットで甘い物控えてるー?みたいな」
「本当に嘘が下手だな」 刹那が、「ありがとう」とぼろっと小声で言ったのを、ロックオンは聞き逃さなかった。
「……美味しい」
「だろ?」
「食べたことないくせに」
「俺だって、甘い物口にすることだってあらあ。アレルヤのケーキは、旨いぜ」
「じゃあ、何で俺だけにくれる?」
刹那は寂しそうな顔をする。
「ティエリアもそうだ、俺に遠慮せずに食べればいいのに」
そして、刹那は澄んだ目をロックオンに向けた。
「このケーキは、美味しいが……みんなで分けたら、もっと美味しい気がする」
「……そっか」
ロックオンは、ぼんと、がっしりした大きな手を、刹那の頭の上に置いた。
「ティエリアにも伝えておくよ」
アレルヤにも、みんなで分けられるような大きなケーキ、作ってくれるように言っておこう。
そう心に決めたロックオンは、限りなく優しい表情をしている。
「今度は、ロックオンも、一緒に食べてくれるか?」
「……ああ、そうしよう」
ロックオンは、ふっ、と笑った。

後書き
この話は、実話を元にして作りました。この小説、杏里さんに送ります

H21.03.03
Tomokoさん、寄稿ありがとうございました! みんな可愛い!




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