Novel
□欲しかった言葉は一つだけ
1ページ/3ページ
「お玉さんは これからどうするんです。」
「貴方次第。」
「 運がよければまた会えますよ。」
欲しかった言葉は一つだけ
仕事人を解散してから数年。
未だにお玉は後悔していた。
(どうして あんな事いったんだろう)
笑顔で別れたものの 心の内は違っていた。
泣くのを必死で我慢していたのだ。
(泣いたら あの人が困るから あの人は優しいから あたしが泣いたら きっと 一緒に居てくれる。)
でも それはあの人の本当の気持ちじゃないから
お玉は自分に言い聞かせるように言った。
そして徐に 気を紛らわすために茶屋に入る。
一番隅の席に通された。
そこに
あの人が居た 気がした。
.