宝箱

□駆け出した気持ち
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駆け出した気持ち



悪者から宝を奪う海賊で、名を轟かせている『黒足海賊団』

その船長をしているサンジは…


ある人物に心奪われた・・
(只の一目惚れ)



「お前が黒足のサンジか・・」

「・・だったら何だ?」

丁度、悪者からまた宝を奪い船へ向かおうとした時、海軍と出くわしてしまった。


ズラリと並ぶ海軍の群れの奥からやってきたのは、黒髪を靡かせ左頬に傷のある幼い少年だった。

その少年は華奢な体をしているが、海軍将校が着ているコートを羽織っておりとても立派に見えた。


その姿にサンジは、いわゆる一目惚れをしてしまった。

「俺は海軍大佐、モンキー・D・ルフィ!」

「ルフィ…」


「お前を捕まえる!!」


既に周りは海軍とサンジの部下が争っていた。
その争いの中心にルフィとサンジは佇んでいた。

「…おい、聞いてるか?」

周りは争い、ルフィも戦闘態勢に入っていたがサンジはさっきから動こうともしなかった。

「ルフィっ・・」
「え?あ、何だ?」

動かなかったサンジが急にルフィの元へ歩みだした。
ルフィは攻撃しようとしたが、サンジは闘おうとする気配もないので戦闘態勢のまま動かなかった。


「何なんだ?自分から捕まりにきたのか?」

手を伸ばせば届く距離までサンジは近付いていた。


「いや?」

「じゃあ・・っ!!?」

攻撃しようとした手を引っ張られバランスを崩し、サンジに抱きつく形になってしまった。
そしてそのままサンジに抱きしめられた。

「なっ、何すんだ!」
「なぁルフィ…俺の仲間になれよ・・」


「…はぁ?」

何を言ってるんだ?と、思い顔を上げると至近距離でサンジと目が合った。


「ルフィが欲しい…」

「や、俺はモノじゃね・・っん…!」

有無を言わず突然サンジにキスをされる。
驚いて離れようと腕に力を入れようとしたが、少し開いた口から舌が入り自分の舌と絡められ、力が抜けてしまった。


「んぅ…ぁ・・っ」


力が抜けたと同時に、サンジの口が離れる。
ルフィは腰が抜けてその場に座りこんでしまった。

座ってしまったルフィに手を伸ばした瞬間、サンジとルフィの間に人が入り込んだ。


その人物はサンジに刃を向け、少しでも動いたら切るというような威圧感を出していた。

「ルフィから離れやがれっ」


「何だお前ぇ?」

「…ゾロ・・」


質問をした相手から返事は返ってこず、ゾロと呼ばれた人物の後ろにいたルフィが名前を呼んだ。

「ちっ・・邪魔しやがって」
「あぁ?」


サンジはゾロと呼ばれた男を一睨みし、ルフィへと視線を移す。

「ルフィ、また俺を捕まえに来いよ・・」
「え…?」

「でも絶対捕まらねぇから。逆に俺がお前を、海軍から奪ってやるよ…」


「サン…っ!」
「おいっ、ウソップ!!」

サンジが一歩後ろへ下がると同時に、辺りが白い煙に包まれた。

「またな、ルフィ…」



白い煙の中でその声だけが響いた。

煙が晴れた頃には海軍しか残っておらず、黒足海賊団の姿は消えていた。


「…何、なんだ・・」

「ルフィ、追いかけるか?」


「おぅ…」


ゾロの手を借り立ち上がると、ルフィは自分の船へ戻る。

歩きながら自分の胸を押さえる。
サンジにキスされてから胸の高まりがおさまらなかった。


無理矢理なキスだったのに、強引な行動とは裏腹にそのキスはとても優しく、それがルフィは嫌ではなかったと思ってしまった。



(この気持ちは…何なんだろ・・)



出逢った時間は短かったけれど…


心に深く刻まれた――



〜END〜

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