宝箱

□駆け出した気持ち2
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サンジと初めて出逢ってから数週間が過ぎた。

探しても探しても中々見つからず…


けれど芽生え始めたこの想いが、サンジに逢いたいと急かしていた。



―――



島に着き、ルフィは情報収集の為1人で歩いていた。

お腹も空いてきたので、何処かで食べようと人通りの多い道をキョロキョロ見渡すと数メートル離れた所に、自分の探していた人物が見えた。


「サン・・ジっ」

人混みを避けて追うと、サンジは狭い路地裏へ入って行ったので後を追う様に路地裏へ入ると、腕を掴まれ路地裏の奥にまで引っ張られる。

「離・・せっ!」

急に後ろから抱きしめられ身動きがとれず、ジタバタと暴れた。

「こ〜ら、俺だよ。ルフィ…」
「え?…っ!!」

聞き覚えのある声に驚き動きを止めて振り向くと、不意に唇にキスをされた。

「んんっ・・ふぅ…」

舌を絡められ力が抜け相手に必死にしがみつくと、笑い声が聞こえた。

「ははっ、そんなに俺のキスが気持ちイイか?」
「サ…ンジ・・」

「んな顔すんなって…襲いたくなるだろ」
「〜っ・・」

顎を掴まれ上へあげられるとサンジと目が合い、そのまま耳許で囁かれる。

顔を真っ赤にして目を逸らそうとしたが、サンジに見つめられ逸らす事が出来ない。

「ルフィ・・逢いたかった」

少しずつサンジの顔が近付き、目を瞑った瞬間ルフィのお腹から盛大に音がなった。

「…腹減ったぁ〜」
「はははっ!何だよそれ」

甘い雰囲気がなくなり、サンジはルフィを抱きしめたまま大笑いをした。

そしてルフィをお姫様抱っこして急にサンジは駆け出す。

「えっ?!サ、サンジっ何して・・!」
「いいから、いいから」



抵抗する間もなく連れてこられたのはサンジの海賊船だった。
お姫様抱っこのままキッチンまで連れてこられ、椅子に座らされた。

「ちょっと待ってな」
「ん…おぅ」

キッチンにはサンジとルフィだけで、サンジに言われるがまま大人しく座っていた。

サンジは料理を作り出し、その後ろ姿を眺めていた。
「んな見つめんなって」
「みっ、見てねぇ!」

「いーや、さっきから熱視線が感じたね」

言葉とともにルフィの方へ振り向き、ニヤリと笑ったサンジにルフィはときめいてしまう。

そして皿に乗ったオムライスをルフィの前に置き、サンジはルフィの隣に座った。


「…食っていいのか?」
「あぁ、お前の為に作ったんだ」

「う…じゃあ、いただきますっ」

ルフィをずっと見つめるサンジにドキドキしながらオムライスを食べていく。

それは今まで食べた料理の中で断トツ美味しかった。
黙々と食べてると未だに視線を感じたので、チラリと見るとサンジとばっちり目が合ってしまい顔が赤くなってしまう。

「美味いか?」
「お、おぅ…すげぇうめぇぞっ」


「なぁルフィ…何ですんなりついてきた?」
「えっ・・?」

サンジの言ってる事は最もな意見だ。
サンジとルフィは海賊と海軍で敵同士だ。それに本当に嫌なら抵抗出来た筈だった。

「ルフィ…期待してもいいのか?」

「…俺っ・・サンジが、好き?」
「俺はルフィが好きだ…愛してるよ・・」


サンジの手がルフィの頬に触れる。
ルフィを見つめる瞳はとても真剣な眼差しだった。

「あれから俺に逢えなくて寂しかったろ?」

「寂し…かっ・・た、逢いたかったんだ」


言葉とともに涙が溢れた。
それと同時にサンジに抱きしめられ、ルフィもそれに応える様に背中に手を回す。

「俺と一緒に来い・・ルフィ」
「でもっ…俺・・」


「ずっと傍に居たいんだ…」
「…うん」

それ以上は何も言えなかった。
お互い抱き合ったままで。

只、願うのは…

ずっと傍で愛したい

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