短編4
□第二弾(全7種)
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ソレに手を伸ばせば掴めた筈だった。
それとも伸ばさずとも掴むことは出来たのかもしれない。掴んだはずのソレは私の手から零れ落ちた
・・・< 鎖された未来(サキ) >・・・
パシッ
「触らないでっ汚らわしい化け物が!」
振り下ろした手は乾いた音をたて私は彼の頬をうった。
ズキッ
途端に痛みが走る。だがそれは叩いた手から伝わる痛みでなく胸からくる痛み。
「・・・・・・・」
何も言わずただ唇を噛み下を向くだけの彼。それが余計に胸が痛くなる。
如何してこんな事になったのだろうか。如何して私は彼を傷つけているのだろうか。如何して彼は何も言わないのだろうか。
彼を見ると変わらずに唇を噛み下を向いている。握られた拳からは鮮血が流れ落ちて、何で何も言わないのだろう。私の言葉が悔しい、むかつくはずなのに。
なのに、
「何で何も言わないのよ!何で黙ってるのよ!何か言いなさいよ!!」
「・・・・ ・・・」
「ぇ・・・何言ってるのよ・・・・」
数分ぶりに聞こえたその声はとても弱弱しくて小さくてとてもじゃないが聞こえるはずなどないかったけれど、そしてその言葉が判った途端。私は何も言えなくなり
「・・・・ごめん・・・・」
「・・・・・っ何で・・・」
彼は何故謝っているのだろうか。そうだ、私のせいだ。彼は何故謝っているのだろうか。謝るべきは私のはずなのに。どうしてだろう。私は別に彼を憎んでいるわけじゃなかった。
わかってた、コーディネータ全てがわるいわけじゃないって、だけど恨まずには憎まずにはいられなかった。思い出してしまったから、憎む事でしか恨む事でしか私がここで生きている意味が無かった時の思いが。。
本当はとっくのとうにわかっていた。いままで、私が生きている意味は大切な皆と共に在ることだったのに。なのに、なのに私は・・・・・・・・っ・・・
「・・・・・泣いて、いるの?」
うん、泣いているの。苦しくて苦しくて哀しくて
私の頬に流れるのはなんですか?それは後悔と謝罪に包まれた雫。
「嫌いよ貴方達なんてコーディネータなんて嫌いよ!だから、貴方も私を嫌いなさい!私は貴方達が嫌い!だから貴方達が嫌ってくれたらどんなに嬉しい事か!!」
私は何を言っているのだろうか。もう、言いたくないのに。もう傷つけたくないのに。
「だから、私を見放しなさいっキラ・ヤマトッ!!」
狂った未来(サキ)に未来はあるの?もう、私自身では止まることが出来ないのに。
後書き
思いっきりシリアス。
いや、ただ「触らないでっ汚らわしい化け物が!」をかきたかっただけ?
あぁ、何かデジャウ゛。つか絶対コレ見て思いだすのがいる・・・・
修正時期 H20,04/30
てかこれあれだよね、まんまあの子だよね
修正時期 H23,08/28