短編4

□第二弾(全7種)
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「       」


唐突に言われたソレに後ろを振り返るとそこには私にとってよく知る人物がいた。
私と同じく十刃。というわけではないが、その実力は十刃にも匹敵するほど。そして目の前の彼女は私の数少ない友人。


「ネリエル。貴方は優しすぎる。」


この言葉を言われたのは今までで何回目だろうか、時折彼女は思い出したように唐突に言ってくる。彼女は私が優しすぎると言う。それには否定はしない。彼女が私の身を案じて言っていることもわかる。
だからこそ私はいつものように彼女を見つめ小さく笑う。


「ありがとう。でも私は大丈夫よ。」


いつもの言葉にいつものように返すといつものように「そう・・・・・」と言って彼女は去って行く。いつもいつも彼女はただソレだけを行って去って行く。最初の頃こそは私は彼女に声を掛けたかもしれない。
だが、彼女は決して振り返らず立ち止まらない事を知ったからあえて私は声をかけない。
何も言わない彼女、けれどその言葉は私の事を心配して言ってくれていることだと知っていた。結局、何だかんだで彼女も優しい事を私は知っていた。






「だから言ったのよ、ネリエル。貴方は優しすぎると。」


銀の砂漠に倒れる水色の髪の少女を見て呟く。どうせ、こんな事を言ったって聞こえはしないのに。
彼女は優しすぎた。破面であるなら十刃であるならもっと無情にならなければならないのに。けれどそんな彼女が、破面よりも人間として近い彼女が好きだった自分がいたことも確か。私は知っていた。彼女の強さは優しさであると。けれど、優しさが弱点でもあった。


「皮肉ね、ネリエル。貴方はとても優しすぎた。貴方は――――



 ・・・< とても脆すぎた >・・・



だからせめて優しい貴方のままで・・・・・―――――







 後書き
ネルじゃないです。ネリエルです。
取り合えず彼女の次の活躍を待っています。
修正時期 H20,04/30
修正時期 H23,08/28
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