短編4

□第三弾 (全5種)
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人を殺すのは怖くなかった。戦場だけが私のいる場所だったから。だから、どんなにきつい命令でも何も反論せずただ剣を振るった銃を握った
それが私が生まれた理由でそれ以外の理由なんて知らなかったから。けれど本当は何処かで望んでいたのかもしれない、私が本当に望んでいたのは・・・・



 ・・・< 恋に墜ちたのは、戦場 >・・・



突然現れたその存在。気付いたと同時に味方は爆発音とともに散り、爆発で舞う砂埃にまぎれて現れたの鮮やかなオレンジ色のガンダム。


「あっ・・・・・・・・」


不覚にもそのオレンジ色に見とれてしまった。だが、その瞬間


ザシュ


肩から腰にかけての熱い痛み、そして目の前が真っ白に・・・・否、真っ赤に染まる。
あぁ、殺されたんだ。何処かでそう冷静に対処している自分がいた。


「・・・・ゴフッ・・・・・」


身体から血がとめどなく流れ続ける。私の周りは私の血で真っ赤になって。身体の表面が熱くなっていく、けれどソレとは逆に身体の芯から冷やされていく。
これが死というものだろうか。もう、動く気すら起きない。だけど心はどこか晴れ晴れしていた。そうか、・・・・・・やっと気付く。


あぁ・・・やっと自由になれるんだ・・・・・――――


私が本当に望んでいたのは――――私をより強い私を倒す存在。本当は戦いなんて嫌いだったのかもしれない、殺しなんてしたくなかったのかもしれない。
剣を持つたび手が震えて、銃を構えるたび足が竦んでいたのかもしれない。まぁ今更そんなことどうでもいいのだけど。
どこか安心していて。きっと私が待っていたのは私より強い私を殺す存在。そんな存在がとても愛しくて心焦がれて、きっとこの感情は恋というのだろう。パチパチッと電流の弾く音とともに私もろとも機体は爆発した。
最後まで私の眼にずっと映っていたのは灰色の世界にある鮮やかなオレンジ色。

名の知らない、ただ私を殺したその存在に私は恋をした。







 後書き
「恋」は最近友達とグラハム名言ばかり言ってるせいか思い浮かんだから。
ハレルヤなのかアレルヤなのか。多分斬った(?)のはハレルヤだと思うよ。
ハレルヤアレルヤなのも友達と「アレルヤハブラレルヤ」とか言ってたからだと思う。
執筆時期 H20,05/11
修正時期 H23,08/28
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