短編4
□第四弾
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「犯罪だわ・・・・・・・・」
「犯罪だわ・・・・・・・・」
「は?」
「そんな、可愛さ犯罪だわ!」
開口一番の感想がコレ。どうやら声に出していたようで言われた人達は凄く嫌そうな顔をしている。いや、どちらかというと変人パラダイスの中では普通の反応だと自分では思う。
とりあえずこの状況の原因であろう人たちに清清しいほどの笑顔で「よくやった」と言っておいた。予想として、後頭部に蹴りが入るまであとコンマ数秒。とりあえず、さりげなく避けておくのを忘れずに。
・・・< 常識なんて通じません >・・・
「なるほどねぇ・・・・・・まぁ、似合ってるからいいんじゃないの?」
「いいわけあるか!」
あ、ぶたれた。いくら子供の姿でもさすがに痛い・・・・・ヒリヒリと痛みを感じる後頭部をさすってると「大丈夫ですか?」と心配してくれる、流石イギリス紳士だね。でも何で、顔が笑っていないんだろう。
さて、今の状況を把握するとあら簡単。目の前にはチビッコ二人に、ウサ耳の老人、長髪のイギリス紳士に同ゴーレム。しまいにゃ猫語の女の子とウサ耳老人まで出る始末。まぁ、可愛いからいいとしよう(一部を除く)
「時間が経てば戻るんだから我慢すりゃいいのよ、そんくらい。それにしても、結構懐かしい代物が発掘したのねぇ。」
この状況の原因となった薬瓶たちを見渡しながら呟く。アレン達は(特に神田)嫌そうな顔をしてるが、永遠に現状維持よりかはいいと思う。それに、まだコムイのと比べれば常識の(すでに外れてるが)範囲内だと思うものばかりだし。
「それにしても、小さくなってもユウは目つき悪いのねぇ・・・・・嫌だわ、そんなガキ。」
「でも、目つきが悪くないユウも怖いさ」
「それもそうねぇ。つか、ラビも全然変わってないじゃない。」
普段見下ろされてた二人を逆に見下ろす優越感。あ、何かいいかも。本当ならアッチで「ニャーニャー」言ってるブックマンもからかいたいとことだが、コッチの方が可愛い。
「あーあ、どうせ変な薬にかぶるんなら若返り薬より成長薬の方がよかったさー」
そしたら俺どんだけイケメンになってるかわかるしー、と言っているラビの話を「はいはい」と流しながら、ふと何かを思い出しそうになり頭の奥底の記憶を探って見る。
少しずつ、何かを思い出していく。頭に浮かぶのは黄色い液体の入った瓶。そう、あれは・・・・・
「あ――――・・・・あるよ、成長薬。」
「げ、そんなモンまであるのかよ。」
舌打ちを打ちながらあからさまに嫌そうな顔をするチビッコ神田。「何か嫌なとても予感がするんですが」と言ってるアレン。うん、あながち間違いじゃないかも。
「リーバー、あの赤い色の成長薬まだ捨ててない?」
「成長薬・・・・・・って、お前が作ったヤツか?残ってるは残ってるが・・・・・・」
「目に見えるほど冷や汗流してるさー・・・・・・え、やばいもん?」
「アレはやばいって言うか危険物って言うか・・・・・・いいのか、死ぬぞ?」
「は?」
「別に大丈夫でしょ。実験用にネズミに投与したら骨になっちゃっただけじゃん。」
「え゛」と、固まる者達と、すでにトラウマとなっているのか遠い目をしている者達。そんな中「何か成長しすぎちゃったんだよねーアハハ」と呑気な笑い声だけが響く。
ちなみに骨となったネズミは時間がいくら経とうとも生き返りはしなかった・・・・・らしい。
「で、成長薬いる?いるんなら持って来るけど・・・」
「結構です!だから持ってこないでください!!」
「何でそんなに必死なのさ。別に薄めりゃ問題ないと思うけどなー」
「「「そういう問題じゃありません!!(ねぇだろ!!)(ないさ!!)」」」
「・・・・・・」
怒鳴りきった後、俯いたまま黙った姿を見て少し言い過ぎたかと思いきや、いきなりなんとも言えない表情で顔を上げてきた。その顔はどう見ても反省してるような顔ではなく、どちらかというと呆れてるような笑ってるような・・・
「あー・・・・・・いくら男三人に怒られても、この状況だと怖くないって言うより笑っちゃう?」
少しでも心配したのが馬鹿だったか、そう言えばこんな奴だったな、と改めて思い知った。とりあえず流石に切れたのかチビッコ神田の跳び蹴りが来るまであと少し。数秒後、科学班から少し離れた場所に居た人物からの情報でドガッという音の後、男の怒鳴り声と女の笑い声が聞こえたらしい。
後書き
久し振りのDグレ。つか、久し振りなのは黒の教団。
何か可愛いよね、チビッコ神田とラビ。ラビ風に言うとストライク、みたいな?あ、ブックマンも可愛かったよ、ある意味。
成長薬は浦島太郎の玉手箱の液体バージョンと考えていいと思う。
執筆時期 H20,06/03
修正時期 H23,08/28