短編4
□第五弾
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「お姉ちゃん?」
縁側で独りぼーっと庭を眺めていると横から現れた銀の髪。そして赤い眼と目が合う。さっきまで士郎とお茶をしていたのにどうしたのだろうかと先ほどまで目の前にいる銀の少女、イリヤがいたであろう居間を覗くと凛と士郎が言い合ってるのが見える。いや、どっちかというと凛が一方的に士郎を怒鳴っていると言った方がいいのかもしれない。
それを確認し、先ほどから困ったような問いかけるような目でコチラを見てくるイリヤにまた目を合わせる。
「イリヤ、一体どうしたの?」
「・・・・・・・・お姉ちゃん、お姉ちゃんはどうして泣いてるの?」
どうしてこの子はそんな事を聞くのだろうか。ただ、その言葉で胸が締め付けられる。
そんな事ないよ、如何してそんな事を聞くの?そう聞くと少女は顔を歪ませる。
「嘘。」
嘘・・・・・そんなはずはない。この言葉は真実で、実際に私は泣いてはいないのだから。
でも彼女の赤い瞳が私を見つめて話さない。
「嘘よ。だってお姉ちゃん、こんなに辛そうで悲しくて苦しくて今にも泣きそうな顔してるもの。」
そんな事はない、そんな事はありえない。だって、私はずっと覚悟を決めてたもの、後悔はしてないもの。なのに、なんでこんなにこの少女の言葉が私の胸の奥に潜む心を揺らすのだろう?
心を見透かされそうな少女の赤い目を背き、拳をキッと強く握る。返せる言葉が見つからない。
「私は・・・・っ」
思い出すのはいつの間にか私の隣にいてくれた蒼い相棒。
一緒にいた時間なんてとてもじゃないけど長い時間だなんていえなく、だけど今でも一つ一つが思い出せる。ナンデダロウ。振り切ったはずなのに。ナンデダロウ。気付かないようにしていたはずなのに。
その時、ふいに私より小さな身体が私の事を抱きしめてくれてる事に気付いた。
「イリヤ・・・?」少女の名を呼ぶ。
「お姉ちゃん、泣きたいときは泣いていいんだよ。」
何でだろう、私の身体よりずっと小さいその身体はとても大きく、とても温かくて。
「私はお姉ちゃんのお姉ちゃんなんだから私の前では我慢しなくてもいいんだから。」
眼の奥から何かが熱く伝わっていく。頬に流れるモノは止まることなく流れ、
「泣いてなんかいないから。泣いてなんか・・・っ」
「うん、わかってるよお姉ちゃん。だから今だけは――」
・・・< この涙枯れるまで >・・・
好きだった、どうかこのままこの思い。涙とともに。
後書き
授業中に思いついた。(オイ)
いや、本当はちゃんとしたの考えようと思ったんだけどね。(問題はそれじゃない)
執筆時期 H20,09/11
修正時期 H23,08/28