短編4

□第八弾
1ページ/4ページ




ほぼ日課となった新都の見回りから帰り、居間で遠坂と情報交換をし終わり。セイバーも遠坂も自分の部屋へと戻っていった。アーチャーは今頃屋根に上って見張りでもしているのだろう。
ひさびさにゆっくり出来るな、と淹れたてで熱々の緑茶を味わっていると廊下を歩く音、襖が開く音とともに眠たそうな顔の少女がいた。
まだ起きているのか?と聞くと何故か知らないが怒っているのか、そっちこそ。とそっけなく返される。それで会話が終ったと思っていると、珍しく声を掛けられる。いつも何処に行っているの?と。
答えが詰まる。あいつは俺の妹だし大切な家族だ。でも心配をかけたくない。あいつには日常に生きて欲しい。だから、嘘をつく。何でもないから気にするな。と。
いつも通りのいつもの顔で行ったはずだった。が、何処か間違えたのか余計不服そうな顔を見せられる。だが、その顔は不服そう、というわけでもなく、怒っているというわけでもなく、今にも泣きそうな顔だった。


「士郎兄はズルイ」



 ・・・< ズルイ  >・・・



唐突に言われた言葉に眼が点になる。


「凛先輩もセイバーさんもアーチャー兄も皆ズルイ。」


セイバーと違い会った事のない筈のアーチャーの名前が出てきたことでやっと状況を把握し始める。知っている事に驚いたといえば嘘になるかもしれない。どこかで気付いてたんだ、もう判ってるってことぐらい。


「ズルイよ。皆して私の事を置いていくんだ。」


何も言えない。わかってた、コイツは何より置いてかれるのが嫌いだってこと。わかってた、コイツは何より独りぼっちになることが嫌いだってこと。だから何も言えない。
ただ、一言だけ言う「ごめんな」と。


「私だって家族なんだ。私だって魔術師なんだ。私だって護りたいんだ。」


震える声に顔を上げてみると手を握り締め涙を必死に堪える姿が目に焼きつく。あぁ、また泣かせてしまったか。


「私はそんなに頼りなの?私は力になれないの?」


泣かないでくれ、俺はお前を泣かせたいわけじゃないんだ。


「士郎兄のように私だって皆が大切なんだ、だから――――私だって、命くらい懸けられる」


―――そんな覚悟なんてとっくのとうに出来てるんだ―――


泣きつかれて眠ってしまった妹の頭を優しく撫で、小さく笑う。「今までごめんな。あと、ありがとな」と。明日起きたらちゃんと全部を話そう。遠坂達には怒られるかもしれないが、それなら俺が護るだけだ。
もう一度優しく頭を撫で涙を拭う。‘護る’それは10年前から心に決めていたことだから






 後書き
時間枠としては桜は居候してなくて、凛は居候してる。それでまだアーチャーはいるから・・・・。セイバールート?
血は繋がってないが士郎の妹設定、桜と同級生。魔術師。こんなかんじかな?
執筆時期 H20,04/30
修正時期 H23,08/28
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ