短編3

□モヒカン少年と私
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「え?モヒカン少年トマト嫌いなの?」

「・・・うっせー。ていうかその呼び方やめろってんだろ。」


試しにコンビニで買ったトマトジュースを勧めれば、物凄く嫌な顔をして断るモヒカン少年。
まぁ、無理に飲めとは言わないし・・・とベンチに座っているモヒカン少年の横に座ってトマトジュースの口をあける。


「そうか、そうか。モヒカン少年はトマト嫌いなのか、そうかぁ」

「人の話聞いてんのかおい」


美味しいのになぁ、とトマトジュースをこれ見よがしにとゴクゴクと飲み干して、ドヤッとモヒカン少年へ振り向くと、何故かモヒカン少年との距離が少し遠くなった気がする。


「何か離れてない?」

「気のせいだろ」


そうかなぁ?と不信に思いながらも。離れた間を埋めるように、少しモヒカン少年へと近づけば、近づいた分だけモヒカン少年は動いて距離をとる。近づけば、離れて。近づけば、離れて・・・・・・


「何で逃げるのさ」

「何で近づいてくんだよ!!」

「そりゃあ君が逃げるからだよ」


ずいっと顔を近付けてにんまりと笑えば、今までとは比べものにならない速さで離れていく少年。でもこのベンチ、長くはないのだからそのうち落ち


ドカッ


「あーらら、やっちゃった。立てる?」


パシンッ


地面に寝転がっているモヒカン少年へ右手を差し出せば、彼は顔をみるみる真っ赤にしパシンッと思いっ切り右手を叩かれた。叩かれて赤くなった右手に「ははっ」と苦笑い。少しヒリヒリするけど、冷ましとけばいいだろうとヒラヒラと右手を振って空気に当てながら、自力で立ち上がったモヒカン少年にニッコーと笑いかけて


ガシガシガシ


「てめぇ、なにして」

「はははははははははははははっ」


頭を、というか数少ない髪の毛を大笑いしながら乱暴に撫でてやる。変にまとまっていた少年の髪は少し撫で回してやっただけでボサボサになり、何というかスッゴい乱れようだな。


「なにしやがる!!」

「何って、倒れたのを恥ずかしがって顔を真っ赤にする可愛さと、人の好意を叩き落とした素直じゃない可愛さに頭を撫でただけだよ?」

「叩いたこと地味に怒ってんだろ」

「怒るだなんて。私、年下には優しいんだから」



 ・・・< モヒカン少年と私 >・・・



「年下に優しい奴が、その年下にジャッジスルーなんてえげつないのやるかっつーの」

「それはそれ、これはこれ。サッカーとなると話は別だよ。ジャッジスルーが嫌なら、今度やるときはプリマドンナとかやってあげようか?」

「ぜってーやんな!!」





後書き
不動は佐久間に続いてジャッジスルーの被害者。
夢主の性格的にプリマドンナはどうかと思ったけど、なんだかんだでノリノリでやりそう。
執筆時期 H23,08/31

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