短編3

□霊子虚構世界でまた会おう
1ページ/1ページ



カタカタカタ・・・・


キーボードを打ち続ける、マウスをクリックし続ける。その動作を繰り返すたびに動きに力が入っていく、苛ついていく。


『不正アクセスは404協定に基づき、国際法において禁止されています。不正アクセスは処罰の対象です。繰り返します。 不正アクセスは404協定に基づき、国際法において禁止されています。不正アクセスは処罰の対象です。 』


何度アクセスしても何度アクセスしようとヘッドフォンから流れるのは同じアナウンス。
わかっている。無謀なことをしているくらい、もう無理に決まっているのに。それでも私はまだ覚えていた、彼のことを。まだ覚えていた、霊子で出会った彼のことを私はまだ覚えている。


「くそっ!!なんで、なんで通じないの!?」


バァンッ!!といきおいよくキーボードを叩いたことで解読不明な文字の羅列が画面上に映される。
何日もまもともな睡眠をとっていないのに急に大きな動きをしたせいだろうか、眩暈がする。倒れそうになる身体をなんとか踏ん張らせてパソコンに向かい直す。


「あの時はあんなに簡単にアクセスできたのに・・・あと一回だけでもいいのに!!」


懲りずにキーボードを打ちアクセスを何度も何度も繰り返す。たった一言だけでも彼に伝えたいのに。


『・・・・・・どう■ら、これ■■■度ら■い。■■』


だんだんと彼の記憶が薄れていく。彼の言うとおり、やはり私も彼の記憶を失ってしまうようだ。
だから、完全に失うまえに・・・もう一度だけでも彼に会いたかった、伝えたいことがあるから、言わなければいけないことがあるから。


『不正アクセスは404協定に基づき、国際法において禁止されています。不正アクセスは処罰の対象です。繰り返します。 不正アクセスは404協定に基づき、国際法において禁止され「あぁ、もう!!!」バァンッ


キーボードをさきほどよりも強く叩きつける。ピーという故障音が響き、チャンネルを変えたように画面が真っ青になり大きくEREEという文字が流れる。


「アーチャー・・・」


たった一言、伝えたいだけなのだ。


『短い間だったが、楽しい時間だった。』


私も楽しかった、毎日貴方に会える短い時間だけが楽しみだった。早く次の日になってほしいと毎日祈った、もっともっと話したいと毎日思った。通常接続権限(アカウント)というのが欲しいと何度も願った。


『……この際、君がマスターであれば楽なのだが。』


貴方のマスターというのになりたかった。
貴方にもっと会いたい、もっと話したい、なんてしょうもない願いだけれども、貴方と笑い合いたくてマスターになりたかった。でも、やはり私は貴方のマスターにはなれないようだ。


『せめてもの感謝として、礼を言っておくよ。』


あぁ、私もお礼を言いたいんだ。


ありがとうアーチャー、貴方のおかげで楽しい時間だった。


最後の足掻きとばかりにEREEの画面を映し続けるパソコンにメッセージを打ち込む。彼に届くかはわからない、だからこれは私の自己満足でしかないのだけれど15の文字を打ち、Enterを押す。再び流れる故障音、そしてパソコンはスイッチを切ったかのようにシャットダウンした。パソコンの画面が真っ黒になると同時に机にうつ伏せになり倒れる、一気に睡魔がやってくる。
あのメッセージが何処かで彼に届くことを祈って、私は眠りについた。



 ・・・<『霊子虚構世界でまた会おう』>・・・



「・・・・・ん?このメッセージは・・・」





 後書き
Extra、というよりもアーチャートーク夢です。
アーチャートークの最後が切なすぎて、ついつい・・・
ランサートークとかないかな、ランサートークとかww

とか作ったらいつのまにかExtraCCCだと・・・!?
執筆時期 H23,08/23

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ