短編2

□それは、死
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それは少しの油断、誰にでもあるほんの少しの油断。


「何や何や、大勢でよってたかって。物騒やな」


眼前にそびえるのは夢の残骸。
前も後ろも右も左も気づいた時には逃げる道などとうに無くなっていた。


「まったく、こんなになるんやったらシロの言うとおりにしとくんやっとわ。」


まだ記憶に新しい、赤い正義の味方の少年は夜風に当たってくると出かけようとした私に何度も何度も声を掛けてきた。今ならあれの意味がわかったかもしれない、気付くには遅すぎた警告。
それらは獣の姿をした黒い、赤い、おぞましいナニカ。

吠える、吠える、吠える、吠える、吠える、吠える、吠える、吠える、ほえる、ほえる、ほえる、ほえる、ホえる、ホえる、ホえる、ホエる、ホエる、ホエる、ホエル、ホエル、ホエル、ホエル――――・・・


「はぁ。しゃーないな」


そして彼女は諦めた。
だが、それは生きることではない、彼女が諦めたのは不可侵の日常。


「ええでかかってきぃや。そんかわり・・・」


そして空気が変わる


「手加減はしねー、やるなら徹底的に解体してやるよ。」


懐から取り出した小刀を軽く振り、迫ってくるであろう残骸を冷淡な瞳で見据えた。



 ・・・< それは死 >・・・



切り刻む、切り刻む、切り刻む、切り刻む残骸か増えるたびに、また残骸も増えていき、死が近づいていく。
死ねない、生きる、私は・・・、生きることに執着する者は切り、刻み、骸を踏み倒して、殺しあいではない生きるための逃げの1手に徹する。

彼女が4日目を生き残れるかは、まだわからない―――。







 後書き
関西弁夢主は切れたら標準語に戻ります。
小刀振り回す、とか空の境界の影響ではない決して・・・多分。
執筆時期 H21,10/08
修正時期 H23,08/30

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