短編6


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「三度目は運命・・・か」

「え?どうしたのよ士郎。急に変なこと言っちゃって」

「ん、あぁ、いや。ちょっと思い出したんだよ。」

「・・・何をよ」

「俺の初恋の相手、かな」



 ・・・< 幼き日の >・・・



小さい頃、まだ名字が衛宮ではなかった頃。
友達は帰り、公園でひとりでブランコを漕いでいた時に現れたきれいな女の人。その人はひとりで遊んでいた俺と一緒に遊んでくれて、きれいな黒髪も真っ白な服も砂だらけになってしまったのに楽しいねと笑っていた。
帰りのチャイムが鳴って家に帰らなくてはいけなくなって、まだその人と一緒に遊びたかった俺は「あしたもあえる?」と聞くとその人は困ったように笑って俺の頭を優しく撫でて。


『ごめんね、明日は来れないの』

『じゃああさっては?しあさっては?』

『うーん、どうかな?でも、いつかまた来るわ。』

『ほんとう?』

『うん本当』

『じゃあさ、おねーさんのなまえおしえてよ』

『私の名前?そうね・・・私の名前はまだ秘密。』

『えー、なんでさ。』

『名前を教えるのは三度目に会ってからにしましょ。』

『なんで、さんどめなんだ?』


だって、そっちのほうがロマンチックでしょ?と言ってその人はきれいに笑った。その笑顔がとてもきれいで「じゃあね」と手を振るあの人をただ呆然と見送った。


「・・・その次の日から何日も何日も、時間があればあの人に会いに公園に行ったけど結局会うことはできなかったな。」

「その人が士郎の初恋の人?」

「あぁ、そのときはわからなかったけど今ならあの人のこと好きだったんだってわかる。そーいや、あの人と同じくらいの歳になっちまったんだな、俺。」


懐かしさに浸り、瞼を閉じる。声も顔も忘れてしまったけれど、あの人が言った言葉だけはいまだ覚えている。


『一度目は偶然、二度目は必然、なら三度目は?名前は三度目に教えてあげる、会えたのならそれはきっと運命だわ。』


あの時以来、あの人に会うことはなかったけれど、何故だろう。近いうちにまた会える、そんな気がした。




 後書き
一度目は〜からの台詞は結構お気に入りです。
執筆時期 H23,08/31
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