短編6
□第十九段
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全く、何が悲しくて私はこんなことをしているのだろうか。
隣でニヤニヤ顔を浮かべている男を見上げ、もとい睨み付ければ私の視線に気付いたのか(こいつのことだからとっくのとうに気付いていただろうが)どうしたと相変わらずのニヤニヤ顔で私の顔を除きこんでくるのがムカついたので、鳩尾に一発食らわせてやった。ざまぁみろ。
ニヤニヤ顔から一変、笑顔を浮かべてはいるものの口端をひきつらせ腹部を抑え若干前のめりになっている男にとどめとばかりに横顔面に回し蹴りを叩きこめば、男は見事に1回転して地面に挨拶をした。
「うっわ・・・・・」
小さく聞こえた同情するかのようなドン引きするかのような声。聞こえた方向に視線を向ければサッと隠れる人影。
・・・・・何をこそこそとやっているんだあいつらは。
半ば呆れながら、いつの間にか復活して何事もなかったかのように私の腰に手を回してくる阿呆に今日一番の冷たい視線を送りながら腰に回された手を思いっきりつねってやった。
「英雄様が一般人からの攻撃食らって情けなくねーのかよ」
「お前からの愛なら俺はなんだって受け止めるぜ?」
「なんだ、ただの変態か」
何でこんなやつに懐かれたんだか。
原因を考えるも出会いは殺し合いとか最悪なもんだったし、全く検討がつかない。とにはかくにも、よくわからないまま(奢ってくれるという言葉に乗せられて)デートのお誘いを2つ返事で了承してしまったのが運のつきか。
あぁ、今日は長い1日になりそうだ。
・・・< どんまい私 >・・・
「ほんと、嬢ちゃんは奢るとかタダとかいう言葉に弱いよな」
「貧乏人舐めるな!!言っておくけど、タダなら財布削るまで食べるからね!!覚悟しなさいよ!!」
後書き
男前一般人ちゃんとランサー
ランサーがただの変態になってしまった感がするが、これはこれで。そして最終的には絆されちゃうといいよ。
執筆時期 H26,02/17