出会ったのは一年以上前のまだ肌寒いとき。
話したのは一瞬。
でも永遠に時が止まってしまったかのような錯覚に陥った。
その人はいきなり話しかけた私にも、優しく対応してくれた。最終的には微笑みながら「頑張れよ」と一言。
それからあの人が頭から離れなかった。なんでなんて、そんなこと考えることもなくわかってしまった。
私は、好きになってしまったんだ、あの人を。
銀髪に翡翠色の瞳。氷のような印象を持たせる風貌をしているけど、とっても優しい人。隊長羽織を翻して去って行った後ろ姿を、見えなくなるまで見ていた、というのは内緒だ。
あの時霊術院卒業間近だった私は、あの人に近づけるように、入隊後必死に鍛錬した。一年で三席にまでなった。そんな私を自体の隊長である朽木隊長は褒めて下さった。
私があの人――――日番谷隊長の元で働きたい、というのを知っていた隊長は、快く私を送り出してくれた。
***
十番隊舎、執務室、前。
息を吸ってー吐いてー。よし、大丈夫。
この扉を開ければ、私は十番隊三席。日番谷隊長の、部下。
「失礼します」
入って一番最初、お煎餅食べながらソファーにいる、松本副隊長と目が合った。
慌てて会釈してから真っ直ぐ前を向く。
私を見つめる翡翠色の瞳が、あった。
「今日から十番隊三席に…」
「あなたが噂の新しい三席?!あたし会うの楽しみにしてたのよー!」
「えっ、あ、ありがとうございます」
いきなり立ち上がって大声で言う副隊長に、名前を遮られた。けど、まぁ、いっか。歓迎してくれるなんて、この上ない幸せ。
「よろしくな」
「…はいっ!」
久しぶりに聞いた声につい、顔が綻ぶ。
やっと、やっとこの時が、来たんだ。喜びで叫んでしまいそう。感動で涙が出てしまいそう。
「それと、」
続いて話しかけられ、一言一句聞き逃さないように、と意識を集中させる。
「よく頑張ったな」
その言葉に思わず目を見開いてしまった。喉まで出かけた言葉を言わないように、息を飲んだ。
叫びたくなるほど
好きなんですけど
どうしたらいいですか?
*終わり*
そんな二人をにやつきながら見てる乱菊。
――――――
名前変換ないけど、
こっそりひまわり様に捧げます。
相互ありがとう!