Dream 1

□思い出す
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remember a feeling






あれから一週間が過ぎた。


自分から別れを告げて、これでいいんだと思っていたはずなのに、この一週間、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうだった。


教室で見かけるアルトくんはいつもと変わらないのに、その"いつも"の中に私がいないことが、どうしようもないくらい悲しい。


シェリルのライブに、行かなければよかった。でもそんなの責任転嫁。原因をつくったのは全部、私。



***



放課後、もうみんながいなくなった教室でひとり机に突っ伏した。

閉じた瞼に、夕日が射した所為で赤が広がった。



アルトくんに想いを告げた日。

こんな風に夕日が窓から射していて、それが照らすアルトくんの髪がすごく綺麗だったなぁ。

あの頃の私は、毎日が楽しくて、幸せで。きっとあの時に幸せを使い果たしてしまったんだろうと思う。

けど、今でも思い出すと心地の良い感覚に囚われて、それが忘れられない私は、この一週間思い出してはもうないんだと落胆するの繰り返し。


ちょっとしたことで不安になって別れて。どうしてあんなこと、言ったんだろう。

私、バカだ…。







「あの日も、こんな風に夕日が綺麗だったな、」


「え……、」





顔を上げると、教室の入り口にアルトくんの姿。

あの日とは、さっきまで自分が考えていた、あの告白をした日、だろうか。


一歩ずつ、アルトくんが近づいてくるにつれて心拍数もあがっていく。

一方的に別れを告げた私に、今更用事なんて、ないはずなのに。



「……帰るぞ、」


「な、んで…」


「彼女と一緒に帰って、何がいけないんだ?」



こんな私をまだ、彼女と言ってくれるの?

どこまでも優しい人だ。



「もう、彼女じゃない、よ」

「俺は別れるって言ってない」

「う、うそだ…っ」

「本当に別れたいって言うんだったら、理由を聞くまで引き下がれない」



その表情は真剣そのもので。

見つめる私の瞳に涙がたまっていく。

アルトくんはそれ以上なにも言わず、

私に向かって手を差し伸べてもう一度。



「帰ろう」



この一週間で忘れかけていた感情を思い出した私は、その誘惑に抗うことなんて到底できなくて、

差し伸べられた手に自分のを重ねると、力強く引き寄せられ、広い胸に顔を埋めたのだった。





END!





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