Dream 1

□泣く
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「――……どう、した…?」



(なんで、泣いてんだよ)

向けられた視線は、そう言っていた。

でも、自分でもよくわからない。悲しいのか嬉しいのか、それだけはハッキリとわかるけど、なんでこの涙は流れているのか、私にはよくわからなかった。

驚きと、喜びと、戸惑いと、ほんの少しの疑い。一気にいろんな気持ちが押し寄せてきて、何も話すことができない。



「泣くほど、嫌、なのか…?」



そんなこと、ない。でも、やっぱり声はでなくて、伝えなきゃと首を横に振った。


それを見たアルトは、少し表情を崩した。その優しい顔、とっても好きだけど、ちょっぴり嫌いなの。だってその表情は、私だけのものではない、から。

でも今、この瞬間は、私だけに向けられた、私だけのモノ。他の誰でもない、あなたから私への。



「バカ、だな…」



怒ってるわけでも、呆れてるわけでもなく、そう呟いたアルト。止まることを知らない私の涙と小さく響く嗚咽が、より一層この静かな二人だけの空間を際立たせた。でも私たちの間に寂しいような、そんな雰囲気はなくて、ただただ暖かくやわらかい空気に満ち溢れていた。



「私、も、すき…、すき、です…っ」




泣く

(でもそれは悲しみの涙じゃなくて
よろこびの、なみだ)






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