東方望月譚
□第一夜
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いつものように起きて、
いつものように学校へ行き、
いつものように友達とくだらない話しで笑い、
いつものように1日を終える……
そんな"日常"がこれからも続くのだと漠然と考えていた。
だから最初は夢なんだと思った。
出来の悪い最悪の悪夢なのだと……
でも、さっきから激しく自己主張している痛覚がそれを否定する。
先ほど急に襲われ浅くない怪我を負ってしまった。
右腕は動かない…折れてしまったようだった。そして腹を少し深く裂かれてしまった。
今いる場所は暗い森の中、当然見たこともない景色だ。
そしてその暗い中でうごめいている"ソレ"が私をかこんでいく……
1匹や2匹ではない20、30という群れが次第に私を取り囲み、今まさに飛びかかろうとしていた。
"ソレ"の外形は犬に似ていた。
しかし、ひときわ大きい"ソレ"らのリーダーと思われる"ソレ"には首が2つほど多く備えられていた。
その姿は化け物と呼ぶにふさわしかった。
前に読んだ漫画に出てきたケルベロスという魔物によくにている。
3つの首がそれぞれに咆哮を上げ周りの化け物が一斉に飛びかかってきた。
無論その牙で私を引き裂くために…
…