東方望月譚
□第三夜
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───魔法の森
そこは魔物と魔法の植物が支配する決して人の住めない場所
幻想郷での初めての外出にしてはハードルが高すぎないだろうか……
「こんな場所に店を出してるくせに商品が売れないなんて嘆いてるのよね此処の主人は……」
パチュリーがそんなぼやきをもらした。
何だかフラフラしてて今にも倒れそうだ。
一応襲いかかってくる魔物はパチュリーが迎撃しているのだがこの様子ではそろそろ限界なようだ。
そういえば、パチュリーが外出すると言ったとき咲夜も美鈴も『明日は隕石でも降るんじゃないか』と言っていたが、そんなに珍しい事だったのか……まぁ今のパチュリーを見ればわからなくも無いけど……
やはりリトルにも来てもらうべきだったかもしれない。
そんな事を思いながら移動していると目的地が見えてきた。
《香霖堂》
そう書いた看板が掛かっている。
パチュリーを見てみると今にも倒れそうだ。
「パチュリー様、大丈夫ですか?」
「へ、平気よ……少し貧血が……(パタリ)」
言ったそばから倒れた。
「パ、パチュリー様!?」
ほっぺたをペチペチと叩いてみる。
へんじがないだだのしかばねの(ry
ってそんなくだらない事を考えてる暇は無い。
パチュリーを背負い香霖堂のドアを蹴り開けた。
「おや、えらく乱暴な開け方だな……いらっしゃい。出来ればドアは手で開けてくれると嬉しい。」
店主らしき男がにこやかにに話しかけてくる。
「生憎、両手が塞がっていましたので……それより何処かパチュリー様を寝かせられる場所はありませんか?」
こんなところで焦ったって仕方がない。
店主も私の背で屍と化しているパチュリーをみて状況を呑み込めたようだ。
「あぁいつものか……客間が空いているよ。ついてきなさい。」
パチュリーの虚弱体質は周知の事実のようだ。
店主について行き客間にパチュリーを寝かせる。
やっと一息つく事が出来た。
「どうも、ありがとうございました。」
「どういたしまして、君は……見覚えが無いが紅魔館の新しいメイドかい?」
「はい、望月 十華といいます。1週間程前にお嬢様に雇われました。よろしくお願いします。」
「よろしく、僕は森近 霖之助。ここ香霖堂の店主だ。だからよく香霖って呼ばれるんだけどね。」