東方望月譚
□第五夜
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最近よく咲夜に頼み事をされるようになった。
咲夜の世界で私は動けるから、とても助かるらしい……
私の能力はというと、パチュリーとレミリアが協議した結果"ありとあらゆる能力の干渉を受けない程度の能力"でほぼ確定なようだ。
でも私の生活が特に変わる訳でもない。
幻想郷に来てから既に3ヶ月が経とうとしていた。
最初の内は不便だと思ってた事も慣れればどうという事はないということがわかった。
そんなある日、そいつは来た。
「パチュリー様、お茶は此処に置いときますね。」
持って来た紅茶をパチュリーの手の届く範囲に置いておく。
紅茶のいれ方も咲夜から教えて貰いだいぶ上達した。
「十華さん、そっちの山の整理お願いします。」
リトルが両手いっぱいに本を抱えながらそう言ってきた。
この3ヶ月でこの図書館の仕事にも慣れた。
今ではどんな本が何処にあるのかくらいは分かるようになった。
リトルに言われた山を見る。
相変わらず多い……大体300冊くらいだろうか……骨が折れそうだ。
とりあえず同じジャンルの本を20冊程抱えて直しに行く。
目当ての本棚に着いた時、その本棚の前に見知らぬ人影を見つけた。
本をとりあえず床に置き、話しかける。
「あなたは何者ですか?」
「あやしい者じゃないぜ」
黒い三角帽子と箒、服も黒を基調としたエプロンドレス
何か魔女っぽい恰好だ。
あやしすぎる。
「図書館へは何をしに?」
目的を探ってみる。
「ちょいと本を借りに……」
「残念ですがこの図書館は一切貸出しは行っておりません。」
とりあえず言ってみる。
「知ってるぜ、だから見つからないように借りていくんだ。」
それは泥棒と言うのでは?
「見つかってますが?」
「目撃者を消せば見つかったことにはならないぜ」
人は此処まで開き直れるものなのか……
「恋符『マスタースパーク」!」
極太のレーザーが放たれた。