東方望月譚
□第八夜
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目を開けるとそこは洞窟だった。
身を起こしてみる。
今の服は簡易なシャツとズボン
誰が着替えさせたのだろう……
──パチッ
「………何の音?」
どこか聞き覚えがある音が洞窟内に響いている。
音のする方に歩いて行くと青いツインテールの女の子と白い犬耳尻尾付きの女の子が大将棋を打っていた。
「うぅ〜」
ツインテールの子が頭を抱えている。
手が詰まったのか……
「さあ、どうしますか?待った無しですよ。」
犬耳の子が得意気に尻尾をパタパタさせている。
どうやら犬耳の子の方が優勢なようだ。
覗き込んでみる。
大将棋──初めて見るけど……すごい迫力
一応ルールは興味本意で調べた事がある。
確かに犬耳の子の方が追い詰めている。
しかし、手が無い訳では無い。
「ここをこうして太子にしちゃえば……」
「あっそうか。ありがと……ってあんた起きてたの?」
「はい、助けてくれてありがとうございます。」
「じゃあさ、この盤面をひっくり返せる?」
「大将棋は初めてですけど……やってみます。」
───そして、10分後
「うぅ〜」
犬耳の子が頭を抱えていた。
「こ、これで……」
「じゃあ、はい。」
王手
「ま、待った!」
「あれ〜椛ぃ〜待った無しじゃなかったのかなぁ?」
ツインテールの子がニヤニヤして言う。
「にとり何もして無いのに……」
まぁ確かに……
「じゃあ、私がここから盤面を更にひっくり返せたら1つお願いを聞いてくれませんか?」
「え?ま、まぁ良いけど……」
椛と呼ばれた子と席を変える。
「じゃあ、はい。」
──パチッ
「うわ……一手で流れ変わっちゃったよ……」
実を言うとこの展開を狙って気付かれない様に崩す場所も作っていたのだ。もちろん気付かれた時の対策も
───そしてまた10分後
「うぅ〜」
そこには10分前と同じ光景があった。
「はい、王手。」
「ま、参りました……」
「どうよ。」
「だから、にとりは何もして無い……はぁ」
椛がしょんぼりしている。
まぁ2回も盤面ひっくり返されればそうなるか……
「そう言えばさ、あんたの誰?服装は紅魔館のメイドっぽかったけど……」
そういえば言って無かった。
「はい、紅魔館で働かせてもらってる望月 十華っていいます。」