小話

□どうか優しいくちづけを
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やはりどうやってもアシュレイ・ブフ&ソレル咒式士事務所は経営難だ。
それというのも、ここ最近大きな依頼が来ないからだ。
人探しや引っ越しの手伝い、家のペンキ塗りなどの平凡な、むしろもう便利屋レベルの依頼しかこなしていない。
俺は戦いを好まない平和主義者なのでまあいいのだが、3度の飯よりも戦闘が好きな糞ドラッケンギギナにとっては不愉快のタネらしい。
ギギナの不愉快は俺の愉快。

「ガユス」

俺が内心でギギナの不愉快を愉快に感じていた事を察したのか、目つきの悪い顔がこちらを向いた。

「何だギギナ。」

「貴様の首を切り落として、永遠の喜びを手に入れる時が来たようだ。」

既に手には屠竜刀。
早くないですか?

「はは、ギギナは欲求不満で分別がつかなくなったらしい。
俺を殺したら事務所の経営は誰がする?」

顔が引き攣ってうまく笑えない。
何故なら相棒の明確な殺意を感じるから。

「私は今、目先の獲物しか目に入らない」

そしてギギナが飛び掛かっ ?!

‥目の前にギギナの整った顔。その後ろに天井。
背中には安物のソファの揺れを感じた。
もしかしなくてもこのパターン‥!!?
 
「とりあえずガユス、まずは性欲を発散させてもらおうか。」

極上に楽しそうな笑みを浮かべて俺の上着に手をかけるギギナは、もはや誰にも止められない。

「‥‥‥‥ そんなああああ!!!」
 

 
「あっ あ、ぁ ‥ギ ギナ‥ 」

上着を捲り上げられて胸の突起を舐められ続けた。
目尻に涙が溜まり、鼻が詰まったのか甘ったるい声しか出ない。
ズボンの上に大きな手が添えてあるが、触れるつもりはないらしく手が動く気配がない。
ギギナにしては念入りな愛撫だ、やっと俺を労う気になったのだな、と ほんの少し嬉しくなっていたのだが、何かが決定的におかしい事に気づき始めた。

「っん、 ギギナ‥?っ」

 

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