小話

□縺れ雨
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ことの発端は、ジオルグ所長のこの一言だった。

「あ、ガユス君にギギナ君、悪いけど次の仕事は2人で行ってね。」

ニコニコと奥の読めないいつもの笑顔を浮かべて、ジオルグ所長は皆が揃う前で言い放った。
俺もギギナも誰も彼もが、ポカンと呆気にとられて言葉を発せない。
それもそのはず、この事務所に拾われてから俺は、所長かクエロとしか仕事に行った事がないからだ。
いきなり、犬猿の仲の俺とギギナを2人きりで仕事に行かせる訳が分からない。

「‥自殺するタイミングを逃しました。」

あのストラトスがこう言うほどの衝撃だ。

「‥ので、死にます。」

‥こうなる事は予想出来たが。
ジオルグ所長は縄を取り出したストラトスの手首を瞬時に抑えて続けた。

「剣舞士のギギナ君と化学錬成系を得意とするガユス君なら、いい連携だと思ってね。
まあ、頑張ってきてね。」

変わらない笑顔からは、俺への思いやりとかそういった物が一切感じられなかった。
むしろ、『下手をしてギギナ君に切り殺されないようにね。』という、理不尽な激励を感じる。
これは事務所内の新人いびりか、?

 

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