立海(幸攻)小説

□偽りの×××
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「幸村」



仁王は俺の座っている椅子の正面にある椅子に座った。

さっき皆と帰ったはずなのにわざわざ部室に戻って来たって事は

よっぽど大事な話なんだろうなと俺は思う。

その表情は真剣なものだったから。



「どうした?」

「柳生の事どー思う?」



仁王は真剣な表情を崩さない。

それでも内容が内容で

俺は眉をひそめる。



「…どうって?」



そう俺が聞くと、仁王は少し困ったような表情を浮かべた。

俺の質問に困ったのか俺の表情に動揺したのか


それでも仁王は俺の質問に答える。



「…好きとか嫌いとか」

「好きだよ」

「どういう?」

「仲間として」

「それだけ?」



俺も大概性格悪いよな

そう心の中で、自分に苦笑した。

それでも饒舌な仁王を見ているのが楽しくて



「…ふふ、いやに食いつくね」



なんて、またからかってしまう。



「気になるんじゃ、」



仁王はじれったいような焦ったような表情で俺を見た。

そろそろからかうのは止めてあげようかな

本当は最初に質問された時から

俺に求められている言葉は分かってたんだ。



「好きだよ、付き合いたいとかそういう好き」

「…そ、か」



仁王は少し間を置いて答えた。

君はこの言葉を待ってたんだろう?


ねぇ



「返事は?…柳生」



仁王の姿をした柳生は一瞬驚いて

次の瞬間俯いてしまう。

それでも柳生の顔がどんどん赤くなるのが分かった。

俺がぽん、と頭に手を乗せると柳生はその真っ赤な顔を俺に向けて



「…私もです…」



と恥ずかしそうに呟いた。



end.



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