立海(幸攻)小説

□怖いものはなんですか?
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「こわいもの?」

「うん、こわいもの」



幸村にそう聞かれ、仁王は少し考える。

こわいもの、こわいもの…

幽霊やなんやらは信じていないからそんなに怖くない。

虫も平気だし、雷だって親父だって怖くは無い。



「こわいもの…」



そう口に出してさらに考えてみたけれど

仁王は思いつかなかった。

けれど

怖いことなら、ある。

それは怖いものを聞かれて一番最初に出てきた

とてもとてもこわい



「…こわいこと」

「ん?」

「怖いことならあるんじゃが…」

「なに?」



幸村がどうして仁王の怖いものや怖いことを知りたいのか、仁王には想像が付かなかった。

でも聞いてくれたおかげでまた思い出せた

この時間が永遠ではないということを。



「幸が居なくなること」



幸の傍に居られる事が幸せ過ぎて、時が止まるような錯覚に陥る。



「幸の傍に居れなくなること」



これからも貴方の傍に居られるように、俺、頑張るから

仁王は幸村の背中に手を回す。

だから、離れていかないで



「馬鹿だな、俺がマサの傍から居なくなるわけ無いのに」



そう小さく呟いて

幸村は仁王をぎゅっと抱きしめた。



end.



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