青学リョ小説

□Less than lover..more than friend..
1ページ/1ページ

「あれ?桃先輩は?」
「桃先輩?部活終わったらそっこーで出てったぜ!」
「凄い急いでたよね」
「何か用事あるのかなぁ…」
「デートとか!」



なんだよ…今日一緒に帰るって約束してたのに。
先約あるんジャン…しかもデートだって?

最悪。



「あれ?リョーマ君もう帰るの?」
「いつもは先輩達と練習していくのに」
「気分悪いから帰る」
「え!?具合悪かったの!?」
「…」



なんでこんなにイライラしてんだろ。
別に関係無いジャン、桃先輩が誰と付き合おうと。

…それにしてもイライラすんなぁ…



「あれーおっちび帰っちゃうのー??」
「…気分悪いんで」
「え、具合悪いの!?気づかなかったにゃー!大丈夫??」
「…大丈夫っス…じゃ、また明日」
「う、うん…無理しないでね」



菊丸先輩は俺が機嫌悪いのがわかったのか、それ以上シツコクしてこなかった。
ごめんね先輩、別に菊丸先輩が悪いわけじゃないんだよ。

文句は全部、桃先輩に言ってね。




一人歩く帰り道

あー一人で帰るの久しぶりかも…
ここ最近行きも帰りも桃先輩と一緒だったから。
別に一人でも平気だ。一人好きだし。

…なんだよ、目から水出てくんだけど

全部



「おぉーい!!えちぜーん!!!」



桃先輩のせいだ。
俺は桃先輩をキッとにらむ。



「な!なんで泣いてんだお前!?」
「別に。つーか先輩デートだったんじゃないんスか?こんなトコに居ていいの?」
「デートぉ?出来たらしてぇよ!で!お前はなんで泣いてんだ?」
「…桃先輩には関係ない」
「なんで怒ってんだよ」

「関係ないでしょ!」



触んないで。
俺は桃先輩の手を払う。

桃先輩が悪いんだから!
俺と一緒に帰る約束してデートなんて行くから。



「越前!」
「彼女が居るならソイツと帰れば良いじゃん!別に俺一人で帰れるし!」



彼女が居るなら俺に構わないで。
桃先輩と一緒に居ると一人の時に寂しくなるでしょ。

いつも一緒に居れないなら一人にしておいて。



「…越前、悪いけど」
「…何」

「俺、彼女居ない」

「…は?」
「つーかあの部活入ってて彼女なんて作る暇ないだろ?」



…それはそうだけど。
俺の機嫌の悪そうな顔を見て桃先輩は苦笑する。



「俺はコレを買いに行ってたんだよ、ほら」
「…?」



桃先輩は俺に向けて何かを投げた。

…ファンタ?


「お前今日具合悪そうだったろ?喜ぶかなーと思って部活終わってそっこー自販機まで走ったんだよ」



俺の頭をポンポン叩く先輩の手は暖かい。
今日具合悪いの気づいてたんだ…誰も気づかなかったのに。



「なのに帰ったらお前居ないし。見つけたと思って声かけたら泣いてるし。かと思えば怒ってるし」

なんなんだよお前は。



心配してくれてたのは嬉しい…けど。
…勘違いしてた俺、かなり馬鹿じゃない?

桃先輩が悪いんだから…俺が勘違いするような事するから。

でも、心配してくれたしファンタくれたし…


「…ありがとうございます」
「よろしい」


一応、お礼言ってあげる。

桃先輩は俺の頭を撫でた。

別に先輩に彼女が居ても俺には関係ないけど!
胸につかえてたイライラが一気に無くなる。
一体なんだったんだ…?



「…で、お前なんで泣いてたの?それに俺に彼女が居るって何?」
「っ…別に!」



自分が勘違いしてた事を先輩に知られたくなくて俺は一人で歩き始める。


「おい、待てって〜!せっかくチャリあんだから乗れよ」
「一人で帰る!!!」
「何で怒ってんだよ〜ファンタやっただろ〜」


そんな俺を桃先輩は自転車を押して追いかけてきた。


なんでイライラしたか、怒ってたかは自分でもよくわかんないけど。

涙は貴方の為に流してた

…なんて絶対教えてあげない。



end.



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ