青学リョ小説
□並んで歩こう
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お前の隣に俺は居ても良いのか?
年下のクセにテニスが強くて。
年下のクセに生意気で。
その堂々とした態度に誰もが圧倒される。
その堂々としたまっすぐな瞳に誰もが惹かれる。
そんなお前の隣に俺は居ても良いのか?
時々不安になる。
お前が俺の隣から居なくなるんじゃないかって。
俺を置いて一人で進んでいってしまうんじゃないかと。
…俺を置いて 一人で
−−−−−
隣に眠るリョーマを抱きしめながら、俺はそんなことを思っていた。
リョーマの目指す場所は俺には高すぎて、一緒に目指す事は出来ないけど。
俺はお前と一緒に居たいんだ…
「…か…おる…?」
眠そうに目を擦り、俺の名前を呼ぶ。
「…まだ寝てても良いぞ…起こしてやるから」
リョーマは俺をぎゅっと抱きしめ、駄々をこねるように首を振った。
「…ヤダ、起きる」
「珍しいな、お前が早起きするなんて…嫌な夢でも見たか?」
「…うん」
「どんな?」
「…薫がね、俺を置いて居なくなる夢」
リョーマはゆっくり話し出す。
「俺と薫で並んで歩いてたのに、急に薫の歩くスピードが速くなって…一生懸命追いかけるんだけど、追いつけないの」
俺を抱きしめる腕に少しずつ力が込められ。
俺は落ち着かせるためにリョーマの頭を撫でてやる。
「凄く悲しくて不安で寂しかった…けど、今薫が隣に居て安心した…」
そうだ、今リョーマは俺の隣に居る。
今はそれで良いじゃないか。未来なんて誰にもわからない。
「俺はお前を置いて居なくなったりしないから」
「ホント?」
「当たり前だろ」
「…良かった…」
自分の隣を並んで歩きたいと言ってくれる恋人。
それだけで不安なんて解消される。
俺はお前を置いていなくなったりしない。
俺はお前と一緒に居たいんだ…
「手放してなんかやんねーから」
「手放される気なんてサラサラ無いね」
お互いに見詰め合って笑い合う。
俺たちなら大丈夫。
だから、二人で並んで歩こう。
end.