青学リョ小説
□手つなご
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「リョーマ、帰ろ?」
「わ、ちょっと待って!」
英二が椅子から立ち上がる。
俺は急いで荷物をテニスバッグに詰め込んだ。
「んじゃ、おっさき〜☆」
「お先します」
部室に残っている先輩達にお辞儀をして、部室を後にする。
「うわ…さむっ!」
外に出ると、すごく冷たい風。
俺は思わず肩をすくめ、目を閉じて身震いした。
(暦の上では春って、ニュースで言ってたのに…!)
なんてくだらない事を考えて、寒さに慣れようとしていたら。
「リョーマ」
普段からは想像もつかない、2人で居るときだけの。
少し低い、落ち着いた英二の声。
「ん」
目を開けて見ると、目の前には手が差し出されていた。
俺は大人しく、差し出された手に自分の手を重ねる。
「ちょっとはあったかいんじゃない?」
英二の手は暖かくて、その暖かさが伝わってくる。
「…うん」
英二は嬉しそうな笑顔を浮かべて、歩き出した。
「雪降らないかな〜」
「寒いじゃん…」
俺は英二の腕にしがみ付いて、ピットリと頬を寄せた。
英二はくすくす笑う。
「リョーマが外でこんな事するの、珍しいね」
「…寒いから良いの!」
照れ隠しに怒ってみたけど、英二にはソレもお見通しらしい。
俺は少し恥ずかしくなってぎゅっと英二の手を握った。
end.