青学リョ小説A
□嫉妬×ヤキモチ×不安
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…最近、乾先輩が構ってくれない。
部活中は海堂先輩とのダブルスの練習。
一緒に居てもダブルスのデータがどうのこうの。
…今までは俺がワガママ言ってもいっぱい構ってくれたのに。
嫉妬×ヤキモチ×不安
部活。
今までは(乾先輩と一緒に居るときを除いて)一番楽しい時間だったのに…
この時間が来なければ良いなーと思ってしまう。
だってさ、乾先輩は海堂先輩に掛かりっきりで、しかも結構仲良しで。
今までは俺が何したって甘やかしてくれたし、構ってくれた。
…俺がワガママだから嫌いになったのかな…
そんな事を、ここんとこ毎日考えてる。
本人に聞く自信は、ない。
だってもしソレが本当だったら、俺どうしたら良いの?
今でさえ泣くの堪えてんのに、絶対泣く。
泣いて…もっと嫌われちゃう。
いつも優しく「好きだよ」って言ってくれた口から。
「嫌い」
なんて聞きたくない。
俺は涙ぐみながら、今も海堂先輩と楽しそうに喋っている乾先輩を見つめた。
いつもはワガママばっかり。
なのにこんな時に何も出来ない自分が悲しかった。
「…ごめん…なさい…」
口に出した瞬間、目から涙がこぼれる。
駄目、泣いたら、駄目。
止まれ…止まれ…っ!
でも涙は全然止まんなくて、乾先輩が見えない。
「…リョーマ?」
聞き覚えのある、優しい声。
無意識に謝ってしまう。
「…っごめん…なさい…っ」
相変わらず涙は止まらない。
「俺…ワガママ…ばっかで…ご、ごめんなさい…っ」
乾先輩が動く気配は無くて。
心にはどんどん、闇。
「も…ワガママ言わない…っ先輩が忙し…くても、っ…怒んないから…」
乾先輩が近くに居るのかも分からない。
でも俺は泣きながら、自分の気持ちを伝えるしか出来なかった。
「…っ嫌いに…嫌いにならないで、下さい…っ」
嗚咽を漏らしながら泣いた事なんて今まであったかな…?
こんなに乾先輩の事好きだったんだ。
…気づくの遅いよ、俺…
「…やっぱり可愛いな」
…?
声が聞こえた次の瞬間、俺は抱きしめられる。
「…っ乾…先輩…?」
「好きだよ、リョーマ」
そう言って、乾先輩は俺の頭を撫でた。
「…俺がワガママばっかり…だから…嫌いになったんじゃ…ないの…?」
「ごめん、リョーマが俺の事好きか試した」
「?」
「ワガママを聞くのもリョーマが喜ぶなら、と思ってたけど。だんだん俺は恋人として見られてるのか不安になってね」
ごめん…と乾先輩は困った笑顔を浮かべた。
まだ先輩の顔がぼやけてる。
「…俺っ…!先輩の事好き…大好き…っ!」
俺は先輩に抱きつき、わんわん泣く。
今が部活中なんて関係なかった。
「っワガママ…言わないっ…忙しくても、怒んない…っ」
だから
「い、一緒に居て…下さい…っ」
俺を抱きしめる力が少しきつくなる。
「…好きだよ、リョーマ…」
end.