青学リョ小説A

□嫉妬×ヤキモチ×不安
1ページ/1ページ

…最近、乾先輩が構ってくれない。

部活中は海堂先輩とのダブルスの練習。

一緒に居てもダブルスのデータがどうのこうの。

…今までは俺がワガママ言ってもいっぱい構ってくれたのに。





嫉妬×ヤキモチ×不安





部活。

今までは(乾先輩と一緒に居るときを除いて)一番楽しい時間だったのに…

この時間が来なければ良いなーと思ってしまう。

だってさ、乾先輩は海堂先輩に掛かりっきりで、しかも結構仲良しで。

今までは俺が何したって甘やかしてくれたし、構ってくれた。

…俺がワガママだから嫌いになったのかな…

そんな事を、ここんとこ毎日考えてる。



本人に聞く自信は、ない。



だってもしソレが本当だったら、俺どうしたら良いの?

今でさえ泣くの堪えてんのに、絶対泣く。

泣いて…もっと嫌われちゃう。

いつも優しく「好きだよ」って言ってくれた口から。


「嫌い」


なんて聞きたくない。

俺は涙ぐみながら、今も海堂先輩と楽しそうに喋っている乾先輩を見つめた。

いつもはワガママばっかり。

なのにこんな時に何も出来ない自分が悲しかった。


「…ごめん…なさい…」


口に出した瞬間、目から涙がこぼれる。

駄目、泣いたら、駄目。

止まれ…止まれ…っ!

でも涙は全然止まんなくて、乾先輩が見えない。


「…リョーマ?」


聞き覚えのある、優しい声。

無意識に謝ってしまう。


「…っごめん…なさい…っ」


相変わらず涙は止まらない。


「俺…ワガママ…ばっかで…ご、ごめんなさい…っ」


乾先輩が動く気配は無くて。

心にはどんどん、闇。


「も…ワガママ言わない…っ先輩が忙し…くても、っ…怒んないから…」


乾先輩が近くに居るのかも分からない。

でも俺は泣きながら、自分の気持ちを伝えるしか出来なかった。


「…っ嫌いに…嫌いにならないで、下さい…っ」


嗚咽を漏らしながら泣いた事なんて今まであったかな…?

こんなに乾先輩の事好きだったんだ。

…気づくの遅いよ、俺…


「…やっぱり可愛いな」


…?

声が聞こえた次の瞬間、俺は抱きしめられる。


「…っ乾…先輩…?」

「好きだよ、リョーマ」


そう言って、乾先輩は俺の頭を撫でた。


「…俺がワガママばっかり…だから…嫌いになったんじゃ…ないの…?」

「ごめん、リョーマが俺の事好きか試した」

「?」

「ワガママを聞くのもリョーマが喜ぶなら、と思ってたけど。だんだん俺は恋人として見られてるのか不安になってね」


ごめん…と乾先輩は困った笑顔を浮かべた。

まだ先輩の顔がぼやけてる。


「…俺っ…!先輩の事好き…大好き…っ!」


俺は先輩に抱きつき、わんわん泣く。

今が部活中なんて関係なかった。


「っワガママ…言わないっ…忙しくても、怒んない…っ」


だから


「い、一緒に居て…下さい…っ」


俺を抱きしめる力が少しきつくなる。


「…好きだよ、リョーマ…」



end.



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ