他校リョ小説

□カエリ道
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おい、なんでお前が此処に居るんだ。





カエリ道





「良かった、亮に会えて」


そりゃあ此処は氷帝学園のテニスコートだから会えるのは確実で。

俺が聞いてるのは何故青学のお前が此処に居るかって事。

俺の後ろには人だかりが…もちろんリョーマを狙うテニス部レギュラー達陣達の。


「あん?リョーマじゃねーか。俺様に会いにきたのか?」

「違うやろ跡部。リョーマは俺に会いに来たんなぁ?」

「クソクソゆーし、リョーマは俺と遊びにきたんだよっ」

「リョーマくんvvどうしたんですか??」

「部活はどうしたんです?まぁ…良いですけど」

「…ウス」


樺地まで…

良かった。ジローは寝てる

てゆうかお前等も部活はどうしたんだよ、部活は。

自分も偉そうに言える立場じゃないが、思わずつっこんでしまう。


「で」

「「「「「「何しにきたんだ?」」」」」」


レギュラー陣からの一斉の質問。

凄い迫力だな、おい。

お前等目が笑ってねぇんだよ。

ホントに笑ってんの長太郎くらいだぞ。

そんな顔してたらリョーマ恐がんだろ?

…って俺の顔しか見てねぇぞこいつ。

しかもすっごい笑顔だ。



「亮に会いにきた」



「「「「「「亮?」」」」」」


レギュラー陣が一斉に俺を見る。

視線が物凄く痛い。

ガン付けられんのは趣味じゃねぇんだが。


「おい宍戸、どういうことだ。あーん?」

「そやで宍戸!なんでリョーマがお前に会いに来んねん」


俺が悪いのか?

こいつが来るなんて知らなかったんだ、俺も。

俺に会いにきたなんて今初めて…



俺に会いにきた?



「特に何もないんだけどさ、亮と一緒に帰りたくて」


どういうことだ?

なんでこいつは俺と帰ることを望んだんだ?

頭の中を、色々な考えが駆け巡る。


「ホントはメールしようと思ったんだけど…部活終わるまでおとなしく待ってるから!迷惑もかけない!ね?」


何でリョーマのメアド知ってるんだと騒ぐレギュラー陣はこの際無視。


「わかった…」

何が起きているかまだ理解が出来ず、とりあえず俺はリョーマが俺を待つことを了解した。

部活に居るのがリョーマであれば、跡部も文句は言わないだろう。


「やった!」


リョーマは俺を見ながら嬉しそうに笑った。



そのあとは大変で。

リョーマのまわりには必ずレギュラーの誰かが居た。

仲良くしゃべる…っていう雰囲気じゃなく、レギュラー陣が勝手にしゃべりかけてる感じだけど。

リョーマはそれを聞いていない。

ただ一点を見て。


…見られてる。


目が合うたびに微笑む。

レギュラー陣はそれが面白くないらしく、リョーマは質問攻めに合っていた。

「なんで宍戸なんだ」

とか

「なんでわざわざ会いにきたんだ」

とか。

かなりの大声だったからレギュラー陣の質問だけは聞こえていた。




*****




「わりぃ、待たせた」

「全然!帰ろ」


だいぶ長い時間待たせてしまった。

跡部のやつ、この事が気に入らないからって、部活の後のミーティングをいつもよりも延ばしやがって…


「かなり長かったよな、待つの」

「別に?亮を待つのは苦じゃないんだ。むしろワクワクして…」

「ワクワク?」


人に待たされることが大嫌いだと思っていたから、そんな事を言うリョーマに驚き。

またそんなリョーマに待つのが苦じゃないと言わせている自分にも驚いた。


「…なんで一言言わないんだよ!メールでもくれりゃあ迎えに行ったのに」


照れ隠しで思わず声が大きくなる。

一言言ってくれればどこにでも迎えに行くのに。


「俺、尽くされすぎるの嫌いなんスよね。それに今日、部活休みだったから」


だから来ちゃった、と。

リョーマは満面の笑みを浮かべた。

笑顔で言うのは反則だ。

もう何も言えないだろ?


「でも…なんでまた俺なんだ?」


レギュラー陣も聞いていたこと。

俺もまた、気になっている一人だった。


「うーん…亮と居ると気兼ねしないし…って先輩だけどさ」


リョーマは笑いながら言う。

レギュラー陣が居るところだと絶対に笑わない彼が、自分の前ではこんなにも表情豊かになる。

心を許されてる証。


…それは期待してもイイって事か?


「…まぁ良いさ。今度一緒に帰りたくなったらメールでも電話でもしろよ」


本当なら毎日一緒に帰りたいけど。

そんな事は言えるはずがない。

いくら自惚れてしまう出来事があったとしても、これは秘めた想いであり。

宍戸はそれを伝えようとは思わなかった。


「うん!…本当は毎日一緒に帰りたいんだけど…」

「…あ?」


今何て言った?


「大丈夫。迷惑だってわかってるし!でも一週間に一回は一緒に帰りたいなぁ」

「お前…今何て言った?」

「一週間に一回は一緒に帰りたいなぁ?」

「その前!毎日…とか」


俺がそう言うとリョーマは俯いてしまった。


「…そんなに嫌だった?迷惑なら言ってね?」


そうじゃない。


「そうじゃねぇんだ…だだ俺もそう思ってて…っまぁあれだ」


俺の顔は見る見る赤くなっていき。

リョーマの顔は見る見る笑顔になっていく。


「とりあえず…毎日会えるか?」


こんなに恥ずかしいと思ったことは初めてかもしれない。

こんなに嬉しいと思ったことも。

まさか意中の相手の一言で、試合に勝利したときの喜びを上回る喜びを感じるなんて。


「うんっ」


嬉しそうに返事をするリョーマを見ながら。

告白はいつすれば良いんだ…と

悩みの耐えない宍戸であった。



end.



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