他校リョ小説

□君の為=俺の為
1ページ/1ページ

真夜中の0時、突然携帯が鳴った。

こんな時間にメールしてくるのは…跡部か岳人か?

忍足がどーだ、日吉がどーだ、宿題は何だと。

とりあえず俺は一息ついてから携帯を取った。


( あいつら、一回返信すると調子に乗ってどんどん送ってきやがるしな… )


読むだけ読んで、シカトしてやろうとメールを開く



送り主の名前:越前リョーマ




( …ん!? )


俺は急いでメールを開く。

まさかこんな時間にリョーマからメールが来るとは思ってなくて、かなり焦った。



『さみしい、あいたい、だいすき』



何事かと思って少し不安になっていたのに…

メールを読んで、愛おしさからの笑いがこみ上げてくる。

なんて、可愛いんだろう。

俺はメールを閉じてリダイヤルボタンを押す。

愛しい恋人の名前を見つけたら、躊躇いもなく通話ボタン


3コール目でリョーマの声



『…亮?』

「どうした、こんな時間にメールなんて」



リョーマの声はいつもと変わらない。



『メール見た?』

「おう」

『…そのまんま』



なるほど、と俺は納得してしまう。

リョーマは青学R陣 ( いや、他校のテニス部にもか… ) にはかなり素直じゃない態度を取っている。

だけど、俺の前では別だった。

思った事を言うのはいつもだが、生意気な部分が無くなる。

素直になって、言う事もちゃんと聞いて、甘えたがる。

そんなリョーマが、凄く愛おしかった。



「なんかあったのか?」

『んーん、なんにもないよ』

「じゃあ、今すぐ寝なサイ」

『…なにそれっ!ひどすぎるっ!』



俺の言葉の意味を悪い方に取ったリョーマは、目に見えるくらい不機嫌な声を出す。

それがまた可愛くて、俺は笑いをこらえ切れなかった。

リョーマはそれが気に食わないらしく、ダンマリを決め込む。

これ以上怒らせると、今から会いに行って許しを請わなければいけなくなりそうだ。

明日はリョーマを迎えに行く為に早起きするから、夜更かしはきつい。



「わりぃわりぃ、そう言う意味じゃねーんだ」

『…じゃあどういう意味なわけ?』

「俺も今すぐ寝るからさ、夢で会いに行くって事」



沈黙。

そして約10秒後、リョーマの堪えるような笑い声が聞こえてくる。



『…ぷ…っ…り、りょう…キザ…キザ過ぎる…っ!』



はいはい、笑われる事なんて想定の範囲内だっつーの。

こういうクサイ事を言っては、毎回リョーマに笑われるのがオチだからな。


普段の俺からは想像出来ないような甘い言葉



「いーんだよ、お前にしか言わねぇんだし」

『…あはは…っ…他の人に言ったら引かれると思うよ…っ』

「うるせー…リョーマが引かなきゃ良いんだって」



相変わらずリョーマは笑っている。



…少しは、寂しさがまぎれただろうか。



学校も違う、学年も違う、部活も忙しい。

会いたい時にすぐに会いにいけなくて、いつも寂しい思いをさせている。

それでも

可愛い、愛しい恋人には、いつも笑ってて欲しい。

それは俺のわがままかも知れない…でも、それでも



『…ねぇ、亮』



少し落ち着いたのか、リョーマが一呼吸置いて俺の名前を呼んだ。



『俺、電話切ったら直ぐベッドに入るから』

「…おう」

『亮もちゃんと、ベッドに入ってね?すぐだよ?』

「もう入ってるって」

『直ぐ電気消して、明日迎えに来てくれるのを楽しみにしながら、目を閉じるから』

「…あぁ」



リョーマの声が嬉しそうで、俺は自然と笑顔になる。


良かった、寂しさは無くなったらしい。



『だからちゃんと、会いに来てよね…』

「もちろん、約束する」

『大好き、亮…おやすみ』

「あぁ…おやすみ」



俺は携帯を閉じて、目を閉じる。

そして愛しい恋人の笑顔を思い浮かべながら、深い眠りについた。



end.



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ