他校リョ小説

□HAPPYBIRTHDAY TO…
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「ねぇねぇ柳さん、乾先輩のちっちゃい時ってどんなだったの?」



リョーマから貞治の事を聞かれるとは思っていなかったから。



「…今より素直だったと思うよ。あと、よく喋ったかな」



此処は俺の部屋。
今日は俺の誕生日だったので、お祝いと言う事でリョーマが泊まりに来ている。

ケーキも食べて後は寝るだけ、とベッドに入ろうとしていた時だった。



「へ〜…写真とかある?」

「あるよ」



小さい頃の写真は何故か多くあったので、俺は写真を取り出した。



「うわ、乾先輩が笑ってる!これ、借りても良い!?」



まさかそんなに興味を示すとは思わなかったので少しビックリしたが。
リョーマは写真を見て驚いたような、面白い玩具を見つけたかのような表情を浮かべる。



「まぁ別に構わないが」

「やった!皆に見せびらかそ〜」



リョーマは写真をヒラヒラかざし、青学テニス部レギュラー陣に見せるのを楽しみにしているようだった。
その笑顔が自分以外に向いていると思うと少し複雑。



「…リョーマは貞治の事を気に入っているんだな」



別に貞治が悪いわけではないが、なんとなく面白くなくて。
…自分でも大人気ないとは思ったが。



「ん?気に入ってるというか、普段見れない顔が見れそうじゃん?これ見せたら」



リョーマから返ってきた答えのほうが大人で、俺は少し恥ずかしくなる。
これじゃ、マスターの名が泣くな。



「…程ほどにしておけよ」


そんな考えをリョーマに知られたくなくて、俺はこの話題を早く終わらせようとする。
でもリョーマはそんな俺に気づいたらしく、食いついてきた。



「…柳さん、機嫌悪い?」

「…悪くない」

「…絶対悪い」



どうにもリョーマには嘘が通じないらしい。
ただ普段から感情を見せない自分にとって、感情を読み取られるのは恥ずかしいというか。
慣れない事なのでどうにか気づかれないようにと。



「…悪くないと言っているだろう?」

「…ヤキモチ?」


・・・

駄目だった。
リョーマには全てお見通しだったらしい。

一生懸命バレないようにした俺の努力はなんだったのか…



「わーい、柳さんにヤキモチ妬いてもらっちゃったvvv」


そんな俺をよそに、リョーマはとても嬉しそうに笑っている。


「…笑うな…」

「嬉しいんだもん」

「…お前にはもう少し、皆から好かれていると言う事を自覚して欲しいな…」

「俺が柳さんを好きで、柳さんが俺を好きだったら、そんなことどーでも良いの!」

「…良いのか?」



リョーマを狙う輩はほんとうに多くて…立海のテニス部員も虎視眈々とリョーマを狙っている。
その他の学校のやつらも、もちろん青学のテニス部員も。

だから良い事は何一つ無いと思うのだが。



「今日は柳さんの誕生日なんだからさっ、ヤキモチ妬く暇がないくらい一緒に居ればいいんだよ。」

まぁ、誕生日以外も一緒に居るけどね



俺はリョーマに軽いキスをして、小さい身体を抱きしめる。
なんて、可愛いんだろう…

この可愛い恋人が居るだけで、自分は今まで表に出さなかった感情を出す事ができる。
それは今まで感じた事の無い恥ずかしさを生むけれど

それはまた嬉しい事でもあった。



「愛しているよ、リョーマ」



リョーマはえへへ〜と笑って目をつぶり、俺に抱きつく。
この小さい身体を離さないように。

来年もこの日を共に祝えるように



end.



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