他校リョ小説
□TVゲームは命がけ
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「やった!」
部屋に響く声。
「は!?ふざけんな!もう一回だ!」
この部屋では今、格闘ゲーム大会が行なわれている。
「まぁまぁ裕太、落ち着きなよ。リョーマもほら、ちょっかいかけないの」
この部屋、というのは不二裕太の実家の部屋であり、不二周助の家である。
裕太は休みを利用して実家に帰ってきていた。
今日は越前リョーマと二人で遊ぶはずだったのだが…
「どさくさに紛れて何名前で呼んでんだよっ!てかなんでここにいるんだ兄貴は!」
最初はリョーマと二人でゲームをしていたはずだった。
しかし気付いたときには周助が自分のベッドの上に悠々と座り、ゲームを、というより自分達を鑑賞していたのだ。
自分達が気付かないほどゲームに熱中していたのか、それとも周助が気配を消していたか。
「だって此処は僕の家でもあるじゃない」
矛盾している。
もちろん周助が居ておかしくはないが此処は裕太の部屋だ。
周助がいるのはおかしい。
「だから、此処はオレの部屋だっつの」
裕太が正論で返すと、周助はにっこりと笑う。
笑っているはずなのに凄い威圧感を感じるのは何故だろう。
いつもこのパターンだ。
リョーマと遊んでいるとなにかと理由をつけて邪魔してくる。
しかも文句を付けると兄の権限をちらつかせ、逆らえないようにするのだ。
「ちょっと、俺も居るんだけど。」
無視しないでくれる?
と、裕太と周助が言い合っている間会話には入れなかったリョーマは拗ねたように言った。
「あーわりぃ…」
「不二先輩も裕太のことばっかりからかうの止めてよねっ」
リョーマは無視されていたことが相当気に食わなかったのか、周助にも食いかかる。
だが周助の方はリョーマの言葉を自分に都合の良いように解釈し、
「越前も構ってほしいの?」
と満面の笑みで聞き返す。
裕太とリョーマはため息を吐いた。
ここまできたら周助は無視決定。
これ以上会話を成り立たせてしまうと今以上に調子に乗り、リョーマが帰るまで裕太の部屋に居座るだろう。
「違う」
とリョーマが周助に向かって言ったのをきっかけに、裕太とリョーマはゲームを再開した。
*****
「ねぇ、勝負しようよ!負けた方は罰ゲーム。勝った方が決めるの」
「あぁいいぜ!絶対負けねー!」
「テニス、負けたくせに…」
「うるせー!早くやるぞっ!」
そうして始まった勝負。
此処はなんとしてでも勝たないといけない、と裕太は思った。
最近リョーマには何をやっても負けっぱなしで、いいところを見せられてない。
その勝負はいつになく白熱したものとなった。
先に三勝したほうが勝ち。
まず裕太が一勝。
次にリョーマ。
リョーマの連勝で、1対2。
次の勝負もリョーマが圧した。
だが裕太も諦めなかった。
最後の最後に大技を繰り出し、裕太の勝ち!
これで2対2。
二人ともかなり本気で、自分の持っている全ての技を出し合った。
そして出た、結果…
リョーマが僅差で勝った。
力は互角で、タイムオーバーになるまで戦った。
そのときHPが多く残っていたのが…リョーマ。
「やったぁ!」
リョーマは本当に嬉しそうで。
テニスで勝った時より嬉しそうな顔をしている。
「見た目じゃわかんねー差じゃん…あーもー」
まぁ罰ゲームなんて考えてなかったし
それに、リョーマに勝つのはもう無理だって悟ったし…はぁ…
「で、罰ゲームって、なにすればいいんだよ?」
リョーマはにっこり笑って、俺に近づいて来る。
ただでさえ隣に座ってて近いのに…
そして目を見て。
「キスして?」
…
「はい?」
「だから、キスして?」
「それって…罰ゲームなのか…?」
「だって!全然してくれてないし…嫌なのかなーって…嫌だったら罰ゲームでしょ?」
あ…気にしてたのか…
口に出さないから気にしてないものだと…
リョーマには悪いが、俺にとって本当に罰ゲームかもしれない。
「嫌なら嫌って言ってよ…?もう言わないから…」
そういって寂しそうにするリョーマ。
…あぁくそっ!!!
覚悟を決めて
ちゅっ
…
「…はい」
「…おでこじゃん」
俺がキスしたのはリョーマのおでこ。
「俺、口が良い…」
「恥ずかしいから、無理」
「アメリカでは挨拶なのに」
「口にはしないだろ?…俺のはお前への愛が詰まってるから、どこにしても同じ…多分」
「多分ってなに!」
そうブーブー文句を言うリョーマのおでこに二回目のキス。
いくら文句を言っても、顔が照れてる。
「…仕方ないから、今日は許してあげるけど」
罰として、今日はギュってして寝る事!
…
キスすれば良かった…
end.