他校リョ小説

□HAPPYBIRTHDAY TO…
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「ねぇ、観月さん」

「…んふっなんですか?…?」


あれ?この声は…
振り返って、その姿を確認する。


「な、なんで君が此処に居るんです?」


こんなの、僕のデータには無かった。
だって



「此処はルドルフ学院の寮ですよ?」





HAPPY BIRTH DAY TO…





まさか此処にリョーマ君が居るとは思わないじゃないですか。
いくらいつも冷静にデータテニスをしているからって。
こういう時は驚いても良いんですよね?
だって好きな人が。

目の前に。


「裕太に入れてもらったんっス」


裕太のやつ、2年のくせに勝手なことを…といつもなら言うはずですが。
今日は誉めてやりたい。
例えリョーマ君が僕目当てじゃなくても。
こうして会えたんですから…リョーマ君は知らない特別な日に。


「そうなんですか?…んふっ何をしに来たんです?」


偵察なら寮まで来ないだろうし。
データに無いことですから…?

あぁ新しくデータに加えておかなきゃ。
リョーマ君は今日も可愛いって。


「いや、観月さんに用事があって」


「やっぱりそうですよね、わかってました…って、え?僕?」


思わずノリ突っ込み。
あぁ…僕にも出来るんですね、ノリ突っ込み。


「すぐ終わるんだけど、今良い?」


「も、もちろん!」


これはデータにどう加えれば良いんだろう?

自惚れちゃいけない。

この子を狙う輩はたくさん居るんだから。
この子にとって、僕はその大勢の中の一人なんだから。


「観月さん、紅茶好き?」


「え、えぇ」


なんですかこの質問は…?
紅茶の葉選びなら誰にも負けませんよ。


「俺が選んだから、自信無いんだけど…」


「?」


「はい、これ!」


そう言って差し出されたのは。
可愛くラッピングされた箱。
リボンまであしらってる。

まさか…


「リョーマくんっこ、これ」


「乾先輩に聞いたんス。観月さんは紅茶が好きだって。中身、気に食わなかったら言ってくださいね」


これってもしかして…?


「HAPPYBIRTHDAY 観月さん」


じゃあ、用も済んだし帰るね、とリョーマはすたすた歩いていく。


「…ありがとうございます!」


「今度、ファンタ奢ってね」


どうしたら良いんですか?
誕生日ってこんなに良い日でしたっけ?
大好きな人に祝ってもらえて。
大好きな人にプレゼントを貰えて。
次に会う口実まで。


今までで一番嬉しいかもしれない。





生まれてきて良かった…





*****


「どうしよう…勿体なくて飲めませんね、コレ…」



同じ位置をぐるぐる回る観月を、柳沢と木更津が見たとか見ないとか。



end.



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