碧眼に滴る漆黒

□12.衝動は待つことを知らない
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ガチャ



エレンを地下室に行かせた後、部屋に戻ると案の定ハルはソファーで寝息をたてていた



リヴァイはそのハルの隣に座ってハルの顔にかかった指で前髪を避けた



アルコールの匂いが強く鼻をつく。きっと結構な量を飲んだんだろう



リヴァイはハルを起こすつもりで頬に触れた



「・・・・・んぁ、・・・・すくぐってぇよリヴァイ」



ハルは頬に触れた感触に目が覚めた。そのあとハルは自分が寝てしまっていたことに気づいた



「なら寝てんじゃねぇよ」



そのままハルの頬に触れていたリヴァイだが何か目元から頬にかけてある跡に気が付いた



これはきっと涙の跡だ。リヴァイはそれに目を見開いた



「・・・・おい、・・・・何かあったのか」



ハルの心臓がドキっと鳴る。リヴァイは前からそうだハルのことについては敏感で優しい



喧嘩をしながらもそう声を掛けてくれるリヴァイの存在をハルは改めて大切に感じた



「・・・・・あぁ。・・・・でもその前に謝っておく。リヴァイ、悪かったな」



ハルは横に座っているリヴァイを見上げながらそう謝った



「・・・・珍しいな」



「俺が謝ったんだ、許せよ。」



「あぁ、仕方ねぇな。」



「お前とギクシャクするのはどうも慣れねぇからな」



リヴァイがそのまま手がハルの髪を撫でるように触れるとハルが目を細めて笑った



「・・・・それで?・・・・・何があったんだ」



それは確信をついた質問だった。でもハルはやっと話せると安堵していた



「喧嘩、・・・・したんだ」



「誰とだ」



「・・・・・エルヴィン」



そのハルの言葉にリヴァイは少なからず驚いた



この二人は喧嘩はしないと思ってたからだ。したとしてもすぐに和解する。今までもそうだった



「その前にリヴァイに聞いてほしいことがある。」



これを聞いたらまたリヴァイ怒るだろうな。でも言わなければ始まらないしいつかはバレることだ、なら自分で言った方がましだ



そう思いハルは目を瞑って言葉を勧めた



リヴァイはハルが何を話そうとしているのか察し大人しく聞くことにした



「前の舞踏会でファーナル家の令嬢がいただろ。俺はその女に投資の話を持ちかけられたんだ。一夜共に過ごせば投資額を上げ、断れば投資は打ち切ると言われた」



リヴァイはハル自身の判断でしたと理解した



そうだ、コイツはそういう人間だ。自分にできることは自分を犠牲にしてでもしようとする。コイツの悪い癖だ



「それで俺は一夜を共にしたんだ。すげー最悪な気分で帰ってきたらリヴァイがいて、そのまま苛々をぶつけた。」



「・・・・もう一度確認しておくがその女と婚約をしたとかではないんだな」



「あぁ、それはない。彼女は他に婚約者がいる、2か月後に結婚するそうだ。だから今後はもう脅されたりはしないから・・・・。心配かけたな」



「全くだ。」



「それでエルヴィンからはそんなことは望んでいないと言われた」



「・・・・言い返したのか?」



「一度言い返したけどすぐ謝った。でもそれで分かってないって言われてちょっとカッとなった。・・・・エルヴィンの手を払ったんだ」



「初めてした、あんなこと」とハルは呟きながら目を開く



その表情にリヴァイはハルが辛いと思っているのが分かった






 
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